ジャズ渡世人冬の一人タビツアー（後編）

おはようございます。

連続アップデイト。

後編は瀬戸内一人タビってところかな。

●2/26（水）松山ゲストハウスMATSUYAMA

大西一史＆布川俊樹Live

さて、高瀬広瀬コンビと別れを告げ、お茶屋さん宅を後にした。しまなみ海道で四国入り！もういまでは慣れた道だ。思えば、３年前の大震災直後のSJPツアーから四国に何度も来るようになった（それ以前は２回しか来たことがなかった）。これはひとえに高松の阿久根くんのおかげ。

さて、この日はちょっと変わったライブ。当地のシャンソンヴォーカリスト大西一史さんのバンドに参加する形なので、いわゆるジャズライブではない。大西さんは当地では大変人気の強力なキャラの人で、彼のおかげでライブは超満員。トークにも何とも味わいがあるからね。ちなみに、僕が松山のこのスペース（いわゆるライブハウスではない）に最初に来たのは２年前、納浩一とのデュオラマ＋ジャムセッションという形で２日やったんじゃなかったかな。昨年はギタートリオツアーで来た。大西さんは２年前最初に会ったときから、僕のギターをやけに気に入ってくれて…。まあ最初は飲むだけだったんだけどね。昨年トリオで演奏したときの「天空の滝」に感動して頂いて、今回のスペシャルライブとなったわけ。ビートルズの楽曲を集めた1stセット、映画音楽などのジャズスタンダードを歌った2ndセット。アンコールは中島みゆき曲。何にしても、布川俊樹のライブとしては、普段聞けないレアなものだったと思います（笑）。アフターアワーズは地元ミュージシャンとジャムセッション。

●2/27（木）高松 Speak Low

布川俊樹＆ hitomi+ code-#1103

いよいよ親友阿久根くんのいる地へ。僕が震災後に久々に来てから早くも５回目の高松だ。2011年夏には福田布川ツアー後、四国旅行もしている。今回は１年前初共演した hitomiちゃんとの共演が今回ライブのコンセプト。僕の無伴奏ソロ、彼女とのデュオ、そして彼女とMacさんのデュオユニット code-#1103にゲスト参加という３つの構成から成るライブだ。彼女はいわゆるジャズ系シンガーじゃないけど、声やリズムとかが素晴らしく魅力的な歌い手。去年トリオにゲスト参加したときにまたやりたいと思ったんだよね。

この日は11時に高松入りして綿密なリハーサル。そして夜のライブは当地の素晴らしいジャズカフェ、Speak Low。この日も超満員のお客さん！まずスティール弦アコギ無伴奏ソロで Waltz For Debby、パットメセニーのTravelsの２曲。今回のツアーは基本オリジナル曲とかじゃなくスタンダードで行こうと決めていた。僕にとって若い頃の目標は、何と言ってもジョンスコフィールド師匠ともう一人のコンテンポラリージャズギタリストの雄パットメセニー。ジョンスコ師匠には直接多大な影響を受けたけど、パットさんはコピーしたのは１曲くらい。でもやっぱりあの音楽性には当然僕のような音楽家は大きな影響を受けた。だから……、50歳くらいまではこの２人のオリジナル曲は敢えてやらなかったんだよね（ほぼ絶対やらなかった）。いまこの歳になってようやく自然にできるようになった。丸くなったってことかねえ…（笑）。

1stセットその後はhitomiちゃんとデュオ。彼女はどちらかと言えばR&Bシャウト系スタイルのヴォーカリスト。純粋なジャズスタンダードデュオは初めてだったかも。でもなかなかに面白い展開でした。彼女はタイムいいし、演奏は何とでもなります。それで女王様キャラだから僕はシモベ（笑）。Fly Me To The MoonやってたらいきなりKillin' Me Sofoly歌い出したりね。すぐ対応できなくてすんません。確かに似てるけど途中からコード進行違うんだよ、hitomiちゃん！でも会場は和んだ（笑）。2/14の大雪遭難トークからMy Funny Valentine（R&B系スローファンクで）とかも面白かった。やっぱりスローファンクで妖しい感じのDay By Dayも新鮮だった。

2ndセットはまず１人でDay Tripper。やっぱりポールっしょ！ってことでね。その後はユニットcode-#1103に僕が参加する形。キルビルのテーマ曲とか楽しかったな。ギターのMacさんはたくさんのアコギを弾き分けるテクニシャン。最後のルート66での彼のソロは行きまくり！ちなみに四国ではルート11だそうな（hitomiちゃんがMCで言ってた…笑）。アンコールはクワタバンドの曲。

メチャ楽しいライブだった！でも正直言うと、リハで上手く行っていたところを大失敗しちゃったのがあったんだよね。これはリベンジしようとhitomiちゃん、Macさんと誓ったのであった。

打ち上げは阿久根くんにまたまた素晴らしい場所へ連れて行ってもらった。割烹「キ星（キボシ）」。大変上品かつ極旨の料理の数々だった。酒は会津の「飛露喜（ひろき）」。

絶品の数々は絵模様でお楽しみあれ。料理タイトルは忘れました。

こんな感じ。最高に贅沢なアフターアワーズを堪能させて頂きました。さすが売れっ子商社マン！いい場所知ってるぞ（笑）。

店から阿久根宅に戻ってスコッチ。スコチだけじゃなくてかなり飲んでしまった…。

●2/28（金）広島music life TAO

布川俊樹＆中村民江Live

おはようございます。旧友２人はかなり二日酔い。日本酒＆スコッチは効くわ…。朝はお約束のうどん。阿久根が「酔い醒ましに散歩するか…」ということで、水戸光圀公の御子息高松松平家で名高い日本を代表する大名庭園、名勝栗林公園を小一時間ブラブラ。気持ちよかったあ…。竹馬の友はいいねえ…。

ってなわけで、あとは二日酔いなので絵模様で…。

さて、こんな素敵な高松と旧友に別れを告げ一路広島へ。この日は中村民江さんとのジョイントライブ。彼女はアイビー眼科病院院長でありつつジャズライブを広島で定期的にやっているジャズヴォーカリスト。僕は２回ほど彼女の病院で院内ライブというのをやって大変お世話になっている。何とも明るいオーラ満載の楽しい歌なんだな。本日は、彼女と以前飲み会でお会いした梅世津子さん（vo）、そして初対面の山本優一郎くん(b)というメンバー。

ライブはこの日も僕の無伴奏ソロから。前日と同じ２曲。この日はちょっとループを使ったりしてプチ進化。民江さんはバースが好きだそうで、ほとんどバースつき。こちらも勉強になりました。ジャズの唄伴やるならバース覚えないと…。ベースの優一郎くんは非常にタイムがしっかりしていてやりやすい。聞いてみると、小池修氏（広島出身）に鍛えられていると言ってた。さもありなん。また、この日は嬉しい飛び入りもあった。関西で何度もゲスト参加しているコンテンポラリーフュージョングループStablenotesのリーダー、東川幸嗣（tp）さんがたまたまこの店に遊びに来たら、僕がいるってんでビックリしてゲスト参加と相成ってしまったわけ。奇遇だったけど盛り上がったな。インストでやったラスト曲 Cantaloupe Islandでは思い切り吹きまくり。飛び入りで行くわ行くわ（笑）。

某酔拳の人。

ぬのさん、梅さん、東川さん、優一郎さん

両手に華！！梅さん（左）と民江さん

広島ってことで、打ち上げ飲み会の話題はさむらごーちにーがき（爆）。

●3/1（土）福山Duo リニューアルこけら落としライブ

布川俊樹セッション

広島の朝は霞んでいた。P.M2.5っていう噂も…。

僕はPMって聞くとパットメセニー、パットマルティーノって

すぐ思い出しちゃう。

あ、ポールマッカートニーもか……。

さて、この日の移動は県内だから楽勝と思って一般道行ったら渋滞で結局山陽道へ。２号線とか１車線なのね。Duoという店は福山に来たら必ず立ち寄っていたジャズの老舗。ここのマスターだったトンさんは「ジャズの塊」そのものの素晴らしいテナーサックス奏者だった。プレイはデクスターゴードンみたいな感じ。とにかく福山のジャズの導師的存在だった。こちらのミュージシャンは皆、トンさんにお世話になったことと思う。

そんな彼に僕は何故だか絶賛されていて、ことあるごとに「布川さんみたいに弾け」と地元のプレイヤーに言っていたらしい。こんな嬉しいことはない。そのトンさんは昨年御病気で亡くなった。そして、娘さんの桑田恭子さんが店を引き継ぐこととなった。

今回のお店のリニューアル、僕には、恭子ちゃんのトンさんの遺志を受け継ぐという意思表示に思えた。お葬式関係には行けなかったから、福山に来た折には、是非トンさん追悼演奏をしたいともずっと思っていた。

気合い入りましたよ！！

無伴奏ソロ演奏２曲は全身全霊の想いを込めて演奏した。僕の気合いは皆に伝わったと思う。そして前原潔（b）、佐藤茶（ds）のトリオで It Could Happen To You。トンさんの大好きだった曲だ。ところで、このリズムセクション、ホントに素晴らしくてかなり驚いた。専業プロじゃなくてこれだけリズムがしっかりしていてグルーヴするリズムセクションはそうないよ！最高に楽しかったな。続けて森川くん（ts）を加えてハッシャバイ。トンさんが大好きで僕が店に行くとよくデュオで共演させて頂いた曲だ。森川くんも心を込めて演奏したことでしょう。で、ドラムは下宮さんに交代。何と彼の弟さんは以前リットーミュージックにいた人。よくギターマガジン仕事を頼まれた。こういうのも縁だな。下宮さんも実にレガートの綺麗なジャズらしいドラマー。バラッドは As Time Goes By。そしてLove For Sale。トンさんに捧げた1stセットとなった。恭子ちゃん、喜んでくれたかな。

最強の福山トリオでっせ！

2ndセットはちょっと雰囲気を変えて色々サプライズ。女子リズムセクション、まり（b）、たま（ds）とトリオ演奏でブルース。この女子コンビ、合わせてまりたま。まりもたまも同じじゃん！ってことでアフター飲み会で盛り上がりユニット化が決定（笑）。続けてサプライズは恭子ちゃんからの提案。新婚の前原さんとまりちゃんに捧げる My One And Only Loveを急遽演奏。２人を泣かせたぜ！やったー！！

その後、まだまだすごい展開に。謎のアイルランド人が歌とギターで乱入。僕のアコギを貸したらDuoは一転ブルースバーに…。一発もので延々とかね。僕も別のスイッチが入って大ブルースロック大会。斯くしてDuoこけら落としは異常な盛り上がりの一夜となったのであった。

シングルモルトの聖地から謎のブルースシンガー…。

異常な盛り上がりで斜めってる！！

お疲れー！！

この後２次会もガン呑み！あまりに面白いこと多くて話題にまったくこと欠かず（笑）。

●3/2（日）福山卸売りセンター大会議室

FBO（福山ジャズオーケストラ）with 布川俊樹（guest）

この日はお茶屋さん率いるビッグバンドにゲスト参加。バンドはエリントンやベイシーなどオーソドックスなサウンドをちゃんとやろーというのがコンセプトらしい（お茶屋さん談）。こういうのもいいねえ。僕は2/3くらいの曲で参加。急に言われて無伴奏ソロも１曲。SJPのアルバム収録の The Nearness Of Youを演奏。いま、こういうアマチュアビッグバンドって各地に色々あるけど、ホントにいいことだと思う。小編成コンボやジャムセッションっていうのは、やっぱり個人の世界だから個人の実力でナンボ。でもビッグバンドは、しっかり定期的に練習してそれなりのサウンドに仕上げて行くことができる。ちょっと語弊がある言い方だけど、個人が上手くなくても為せば成るところがあるわけ。現に何度かレッスンしたことあるサックスの方とか個人プレイとしては正直ジャズはまだできない。でもビッグバンドでは、アドリブじゃないかもしれないけど、ソロだってちゃんと演奏している。そういうのを見るのはやっぱり嬉しいんだな。難しいサックスソリアンサンブルとかだってやってるんだからね。音楽を集団で（それこそサッカーや野球みたいに）仕上げて行くのは、いわゆるジャズの個人的技量が上がって行くというものとは違う達成感があると思うわけ。相互的な集団のパワーもある。僕はそういう音楽あまりやって来なかったけどね。

ちなみにこの日のせっちゃん（原勢津子）のMC面白過ぎ（笑）。歌もよくなりました！

てなわけで、この日もた打ち上げは大盛り上がり！！

ソウルブラザーお茶屋さんと！！

●3/3（月）岡山 SOHO

布川俊樹＆角堂りえ（org）ライブ＆ジャムセッション

いよいよ最終日。この日の移動は一番楽。お茶屋さんと昼に寿司食べて、一般道でゆっくり岡山へ。りえちゃんは去年のトリオツアーのときに共演した地元プレイヤー。今回は彼女とこの店のマスター岡崎章男（ds）さんとトリオ。岡崎さんは歯科医。もうお医者さんジャズプレイヤー多いんだよなあ（笑）。今回のツアーで無伴奏ソロでやり続けたDay Tripperを３人で。G, Org, Dsのトリオで実にサウンドしたな。グラントグリーンみたいな感じになった。とにかくオルガンとのトリオはサウンドが気持いいです。後半はジャムセッション。とても沢山の人たちと一緒に演奏。取りあえず１人２曲はやれたはず。皆楽しんでくれたかな。この日もほぼ満員のお客さんで盛り上がりました。いやあ、ホントに各地でお客さんが来てくれるのは地元の方々の努力のおかげです。感謝の念に堪えません。

この日は岡崎さん宅に御厄介に。美味しいお酒と料理を頂きました。

最後まで渡世人（笑）。

●3/4（火）帰還

10時に岡山出発。ただ高速で早く帰るのもつまらないし、昼間に帰ってもお金も高くつくから、ちょっと夜中到着狙ってダラダラ行くことに。何と四日市まで（約半分の行程）阪神高速以外は一般道にチャレンジ。奈良京都の山のドライブが気持ちよかったなあ…。四日市で高速入って夜中に到着。一人タビならではの醍醐味だった…。

とにもかくにも……、いやはやお疲れーーの一言！

最後に今回大変お世話になった萩原夫妻、Makiさん、多胡さん、お茶屋さん、玉乃井さん、大西さん、阿久根くん、hitomiちゃん、Macさん、美濃さん、民江さん、TAOさん、恭子ちゃん、福山FJOの皆さん、りえちゃん、岡崎さん……、そして御来場の皆様にこの場を借りて御礼申し上げたいと思います。

どうもありがとうございました。

The End ……。

そのうちまた

ジャズ渡世人　Coming Soon !!

色々次なるアイディアを考えてみよう！