春休みジャズフレージング特別講座「ジャズギター初心者に向けて」(第2回) [音楽雑感]
●「ジャズギター初心者に向けて」Part 7 (2/27 記)
おはようございます。春休みのジャズギター初心者講座を何となく続けております(笑)。僕は、かねがねアドリブソロ初心者には音数を減らして(2音、3音だけ使ってプレイをすることから始める)フレージングすることを勧めていました。で、そこからメジャーペンタ、あるいはブルーノートペンタ、それを合体させたブルーススケールという風にやっていました。
今朝急にあることに気がつきました。僕は理論書の類いをまったく読んだことがないので、こういう考え方を言ってる人がいるのかどうかは知らないのですが、上記の考え方がもっと整理されました。少なくともブルースを基本としているもの(ジャズも元はそうです)のフレージングには有効だと直感しています。それは……
4つのペンタトニックがあるということです。
まず、2音でのフレージングを考えます。主音(ド)の下に1音使ってフレージングするのは、2タイプあります。
(1)6thタイプ…ド、ラを使う
(2)b7thタイプ(略して7thタイプ)…ド、シbを使う
次に3音に拡張します。(1)にはレを加えて、ド、ラ、レを使う。(2)には3度のミを加えます。ここでこのタイプには2通りができます。ミを長3度にしてもいいし、ブルーノートにしてb3度にしてもよいのです。ド、シb、ミbの3音を使うものを7thタイプBとします。ド、シb、ミの3音を使うものを7thタイプMとします。
次に4音に拡張します。(1)にはミを加えます。ここでも長3度とブルーノートの2つの可能性が出ます。ド、ラ、レ、ミの4音を使うものを 6thタイプM、ド、ラ、レ、ミbの4音を使うものを6thタイプBとします。(2)にはファの音を加えます。この時点で4つのタイプが出て来たわけですね。
最後に5音に拡張してペンタトニックになります。これはどのタイプでもソの音を加えます。主音ドを中心として、上のソ、下のソまでの音域でフレージングする練習です。ギター指板上で考えると4弦5フレットG音から1弦3フレットG音までの間になります。A音は3弦2フレット、Bb音は3弦3フレットで弾きます(主音Cとの関係が捉えやすいから)。
さて、まとめてみましょう。
(1)6thタイプM…ド、ラ、レ、ミ、ソ(いわゆるメジャーペンタ)
(2)6thタイプB…ド、ラ、レ、ミb、ソ(何て名付けようかな…笑。ブルーノート6thペンタとか)
(3)7thタイプB…ド、シb、ミb、ファ、ソ(いわゆるブルーノートペンタ)
(4)7thタイプM…ド、シb、ミ、ファ、ソ(ミクソペンタと名付けてみます…笑)
こういう手順で作って行けば多分わかりやすい。実際のフレージングをどうして行くかは次回に説明しますね。
さて、「ジャズギター初心者へ向けて」って気まぐれに始めた春休み講座ですが、これ、ジャズギター初心者だけじゃなくて、アドリブソロ未体験者(吹奏楽やってた高校生とか)に対してすごくよい方法のような気もして来ました。来年度の1年生アンサンブルとかでやってみようかな…なんて思っている今朝です。
実際のフレージング作ってみると、我ながらいいやり方だと思うんだけどな(笑)。
●「ジャズギター初心者に向けて」Part 8 (2/27 記)
4つのペンタへの道!
それでは Part 7の方法で実際に8小節のフレージングを考えてみます。
まずは2音で作ります。(1)6thタイプでドとラだけです。
No.1
8 ーーーー ーラドー (アウフタクトで出る)
1 ドッーー ーーーラ
2 ッドーー ドーラド
3 ーードー ラドーー
4 ドーラド ッドッド
5 ーーーー ードラー
6 ーーーー ラドドラ
7 ドッドッ ラッーー
8 ーーーー ーラドー
何かビリーズバウンスみたいですね(笑)。ブルースではたぶんバッチリ使えるし、何か循環みたいので8小節弾くのでも大丈夫でしょう。
次は No.1 のフレージング(2)b7thタイプにしてみます。ラをシbに置き換えただけです。
No.2
8 ーーーー ーシbドー (アウフタクトで出る)
1 ドッーー ーーーシb
2 ッドーー ドーシbド
3 ーードー シbドーー
4 ドーシbド ッドッド
5 ーーーー ードシbー
6 ーーーー シbドドシb
7 ドッドッ シbッーー
8 ーーーー ーシbドー
これもまったくOKですけど7thがあまりに強調されているので、メジャーキーでやったらブルース味強過ぎかもですね。
2音だけ使って弾いてると、何か高く上がったり他の音を入れたりしたくなって来ませんか?これがフレージングへの欲望なのです。それから、これはキーCならばどんな進行で弾いても合うとは残念ながら言えません。でもやってみる価値はあります。何か変だな?と「感じる」ことも大切です。
次は、実験をしてみます。No.1のドとラを試しに入れ替えてみます。
No.3
8 ーーーー ードラー (アウフタクトで出る)
1 ラッーー ーーード
2 ッラーー ラードラ
3 ーーラー ドラーー
4 ラードラ ッラッラ
5 ーーーー ーラドー
6 ーーーー ドララド
7 ラッラッ ドッーー
8 ーーーー ードラー
このフレージングだけ聴いたら、まるでAmキーみたいに聞こえます。でも、循環進行とかに乗せたら意外にいい感じです。ちょっと僕もビックリ!!ブルースだと若干違和感ありますね。
でもいいかげんに次の音を入れたくなって来るのが人情(笑)。あと、とにかく2音だけだとメロディーっていうより譜割り勝負であります。
是非、この実例を参考にアドリブで2音フレージングの練習をしてみてくださいね。4小節、8小節の流れを意識することが大切。
さて、この春休み講座、いつまで続くのか…(笑)。
●「ジャズギター初心者に向けて」Part 9 (2/28 記)
おはようございます。まだまだ春休みの講座は続きます。Part 7の実例を続けて行きましょう。
前回 Part 8 の2音を3音に拡張します。今回はCブルースにしましょう。わかりやすいかもです。
(1)6thタイプでドとラとレの3音を使ったフレージングです。
No.4
12 ーーーー ーラドー (アウフタクトで出る)
1 ドッーー レドラド
2 ーーレー ーーーー
3 ードッー レドラー
4 ーーーー ーラドー
5 レッーー レドッー
6 ーーーー レドラド
7 ーーラー ーーーー
8 ーーーー ードラー
9 ーレッー レッーー
10 レドラッ ーラドッ
11 ーーレド ラッーー
12 ーーーー ーラドー
(2)次は7thタイプです。ドとシbとミ(or ミb)の3音を使ったフレージングです。なんのことはなくてNo.4の音を置き換えただけですけどね。ただ3度には2つの可能性があるので、混ぜて使っています。
No.5
12 ーーーー ーシbドー (アウフタクトで出る)
1 ドッーー ミドシbド
2 ーーミー ーーーー
3 ードッー ミドシbー
4 ーーーー ーシbドー
5 ミbッーー ミbドッー
6 ーーーー ミbドシbド
7 ーーシbー ーーーー
8 ーーーー ードシbー
9 ーミッー ミbッーー
10 ミbドシbッ ーミドッ
11 ーーミbド シbッーー
12 ーーーー ーシbドー
このようにブルース進行の場合、サブドミナント F7に言ったときにブルーノートであるEb音に行くとブルース進行の感じが出ます(これ、あまりに定番な方法なんで覚えておきましょう!)。No.4よりやっぱりブルースっぽいかな。
(3)次は4音タイプ。ここで6thタイプも長3度かブルーノートかの2択になります。両方を使って感じを出します。
No.6
12 ーーーー ーラドー (アウフタクトで出る)
1 ミッーー レドラド
2 ーーーー ーラドー
3 ードッー ミドラッ
4 ーーーー ーミbドー
5 ーミbッー ーーーー
6 ミbドレド ーーラド
7 ミドーー ミドラー
8 ーーーー ードラー
9 ドドッー ーーーー
10 ーラドッー ミbーーー
11 ミミッー ドミドー
12 ーーーー ーラドー
(4)次は4音7thタイプです。
No.7
12 ーーーー ーシbドー (アウフタクトで出る)
1 ミッーー ファーミド
2 ーーーー ーシbドー
3 ードッー ミードシb
4 ーーーー ーミドー
5 ーファッー ーーーー
6 ミbドファミb ーーーー
7 ーーシbド ミードシb
8 ーーーー ーシbドー
9 ーミッー ファミッー
10 ミbッーー ーシbドッ
11 ミミッー ファミドー
12 ッシbッー シbドッー
同じ人が作ってるから何か似た感じになっちゃいますな(苦笑)。それも続けて書いてるから記憶が残ってるのがいけない…。
さて、今回はここまで。次回でいよいよペンタトニック5音となります。
●「ジャズギター初心者に向けて」Part 10 (2/28 記)
さて、今回がPart 7であげた4つのペンタトニックの実例ということになります。Cブルースです。
(1)まずは、Part 7で上げた6thタイプの2つのペンタトニック、メジャーペンタトニックとブルーノート6thペンタトニック(僕の造語)を使ったブルースのフレージングです。2つは混ぜて使ってみました。ドとラとレとミ(ミb)、ソの5音を使います。2コーラス作ってみました。
No.8
12 ーーーー ミソラッ (アウフタクトで出る)
1 ドッーー ーーミド
2 ーーーー レドラド
3 ーーミッ ーーーー
4 ーーラソ ミbレドラ (最初のラは上に上がる)
5 ドッドー ミbーーー
6 ーーーー レドラソ
7 ーーラソ ーーーー
8 ーーーー ミソミソ (ミの音をミbからスライドしてしゃくり上げると感じが出るよ…笑)
9 ミドラー ーーーー
10 ーーーー ラドドラ
11 ドッミー ソーーー (ソは下が落ち着く)
12 ーーーー ーソラド
1 ーソラド ーソラド
2 ミbドレド ーーーー
3 ラソラソ ミッドド (ラは上に上がる)
4 ーーミー ーーーー
5 ーミbドー ドッーー
6 ミbーミbレ ドーラソ
7 ーーーー ーーーー
8 ーーーー ソッミー (ミの音をミbからスライドしてしゃくり上げると感じが出るよ…笑)
9 ドッドミ ーーーー
10 ーーーー レドラド
11 ーーラー ーーー
12 ーソラド ミソラド (下のソから上がって行く)
あー、ファに行きたくてしょうがない(笑)。
(2)次は7thタイプの2つのペンタトニック、ブルーノートペンタトニックとミクソペンタトニック(僕の造語)を使ったブルースのフレージングです。やはり2つは混ぜて使っています。
No.9
12 ーーーー ーーミッ (アウフタクトで出る)
1 ドッーー ーーミッ
2 ファミファミ ドッミー
3 ドッーー シbソシbソ
4 ーーーー ーソシbド
5 ミbドーー ミbーーー
6 ーーーー ミbドファミ (後のミはナチュラルに敢えてしてます。いい感じでしょ?)
7 ドッーー ーーシbソ
8 ーーーー ーシbドミ
9 ファーーー ーーーー (思い切り1小節伸ばす。tpみたいに)
10 ーーソファ ミドドッ
11 ドッミー ーーーー
12 ファミドソ ーーーー (ソは下が落ち着く)
1 ーソファミ ファソッソ (上のソに上がる)
2 ーーファミb ファソッソ
3 ーーファソ ミードシb
4 ーーーー ーーミbミ(4拍めの裏はナチュラルのミに上がる)
5 ソーファミb ファソッソ
6 ーーファミb ファッーソ
7 ーーファソ ミードシb
8 ーーーー ーソシbド (下のソから)
9 ミbドドッ ーーーミ
10 ーーファソ ミドシbソ (下のソに下がる)
11 ーーーー ーーーー
12 ーーシbソ ファッミド (上のシbに上がって下がる)
やっぱりブルースって感じになりますな。
(3)これが最後。No.8とNo.9をミックスしたアイディアです。4つのペンタトニックを全部合わせるわけです。音を下から並べてみましょうか。一応3つの言い方で書きます。
C, D, Eb, E, Eb, F, G, A, Bb, C
ド、レ、ミ、ミb、ファ、ソ、ラ、シb、ド
1, 2, 3, b3, 4, 5, 6, b7, 8
ということになります。おー、これはブルーススケールじゃござりませんか!もう何とでも言えます。メジャーペンタトニックとブルーノートペンタトニックを合わせた。ミクソリディアンとドリアンを合わせたとかね(難しいこと言ってすいません…苦笑)。慣用的によく F# ファ# 4#も使いますね。
ここまで来るとかなり自由にフレージングできますね。いわゆるブルージーなフレージングになります。
作ってみましょう。
No.10
12 ーーーー ソラドミ (アウフタクトで出る)
1 ッドーー ーーーー
2 ーーラソ ミドドラ (ラは上に上がる)
3 ドーミファ ーーミド
4 シbシbーー ーソラド
5 ミbドレド ーーーー
6 ーーラソ ミbドドドラ
7 ファッミbミ ドーシbソ
8 ーーーー ーソドミ (ソは下から)
9 ファーーー ファソッー
10 ーーーー ミbミファミb (僕が人生で最初に覚えたジャズフレーズ!…笑)
11 ミッドー ソーファミ (下のミまで下がって行く)
12 ッドーー ミbドレド
1 ーーーラ ソミドラ (上のラに上がって下がる)
2 ドードミ ーーーー
3 ーラドラ ソミドラ (下のラから上のラにオクターブ上がって下がる)
4 ドードミ ファーミド
5 ーーーー ーーーー
6 ードッミb ファーミbド
7 ーーーー シbソシbソ
8 ーーーー ーソシbド (下のソから)
9 ミbミファファ# ソミッー (クロマティックで4#音も入れちゃいました)
10 ファソミbミ ドソシbド
11 ーーーー シbソファソ
12 ーーーー ーーーー
結構好きに作っちゃったんで、いきなり難易度上がったけど、もう実際のプレイみたいなブルージーなプレイになってると思います。とにかく、ブルースは元々は三行詞からできたもの。簡単なモチーフの繰り返し、間の取り方など参考にしてもらえればと思います。とにかくフレージングは歌ってください(歌えるようなフレージングだと思います)。
もし、弾いてみるなら、連載当初に書いたように、5弦3フレット~3弦5フレット~1弦8フレットまでの2オクターブ内だけでまず弾いてみましょう。その5弦からのポジションの絵柄と音程関係を覚えたいのです。
いままでのことがしっかり理解できていれば、このポジションで4つのペンタトニックの音が弾ける。ということは、最初にやったメジャースケールに加えて、ドリアンもミクソリディアンも弾けることになっているのです。
さて、この連載も10回やってキリがいい感じ。取りあえずせっかく書いたから、ここまでをブログにまとめてみようかな。
まだ続くかは、皆様の御希望次第(笑)。
P.S…以下URLに布川俊樹の最新ジャズギター教則本の情報があります。興味ある方は是非!
http://nunosan.blog.so-net.ne.jp/2016-08-25
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