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正月にコロナ時代の1年を振り返る [日々着眼時々思案]



正月にコロナ時代の1年を振り返る

 

なんか「コロナ禍」っていう言葉が性に合わない天邪鬼性格なので(With Coronaも好かん)、たぶん文章で1度も使っていません。僕はずっとコロナ時代って呼んでいます。

 

まあ、僕のいる業界にはどう考えても「禍」ではあったと思うんですけどね。

 

僕もかなり収入は減ったけど、音楽業界(あるいはジャズ業界)ではだいぶマシだった方だと想像します。まわりを見ても、結構なベテランミュージシャンたちでもバイトを始めたとかいう話はよく聞きます。僕はたまたまラッキーなことに大学で教えてたり、教則本出せたり、早くから(と言っても一昨年2019年)YouTubeチャンネルで教則映像もアップしていたから、スムースにオンラインサロンとかも始めることができました。生徒は正直言って1/3くらいはいなくなったけど、オンラインサロンが少しの助けになってます。

 

でも実は、コロナがなくても残念ながらもうここ10年、ホントにジャズマーケットは縮小してしまっていて、基本は「演奏する人」ばかりで聴きに来る層は少ない(特に若年層はいない)というのが僕の印象です(少なくとも僕の周りは)。世の中は、音楽(教則なども)に対してシェアという概念が主流になってしまったので、ストリーミングやYouTubeでほぼタダに近い出費で聴くことができます。ストリーミングだけで聴いてたら年間1万くらい。CD4枚買う値段で限りなく聴けるわけです。ライブシーンは、お店は軒並みチャージバック。そう言ったジリ貧的な状況(音楽ビジネスの末端ミュージシャンにとって)にこの「コロナ」が究極の鉄槌を下して顕在化させたとも言えるかな。ダラダラ下がってた株価に大暴落がやって来たようなものだった。

 

コロナ後は身近なミュージシャンのライブ映像もかなりタダで観れるようになってしまいました。だから残念ながら「ライブ中心のジャズの専業プロ」はほぼ成立しない世界になってしまったのかもしれません。以前から大変は大変だったけど、この「コロナ時代」に息の根を止められた。

 

僕は、縮小したジャズマーケットで生きる道を模索して「ジャズ渡世人」を名乗って約10年やって来ました。これをやらなかったらいまの僕はない。各地をまわり「布さん道場」のようなジャムセッションを始めて、CDは自主制作で作りそれを売り歩く、つまり渡世行商、寅さんモデルですね(笑)。いまは20年前のように正規ルートでCDが売れることは一部の例外を除いてありません。このモデルは、もちろん完全にリアルライブモデルで「コロナ時代」には当然そぐいません。ほとんどがストリーミングになった世の中でCDはライブのお土産品として売れるからです。

 

それじゃあ、コロナが終わってアフターコロナあるいはポストコロナの時代にリアルライブモデルが可能なのかどうか。スペイン風邪後のゴールデンジャズエイジ到来みたいのを神頼みしたいですが、一度引き篭もったマインドの人たちを呼び戻せるのか全くなんとも言えません(100年前のように抑圧されていた後の爆発を願いたいけど、ジャズクラブにやって来る人は高齢者ばかりという状況もあるし)。

 

一方で、当然「禍」の時代は、色々と価値観やら方法を全てひっくり返したわけで、この時代にやたらスキルを伸ばして新たな「方法」に転換した人、それにトライしている人も多いと感じます。ガラガラポンが起きれば、ベテランの既得権益層もへったくれもない。若者にはチャンスです。僕が新規参入したジャズ YouTube教則の世界だって、ライブシーンでは知らない人が僕より断然集客力があってポピュラリティーを獲得しています。そこはジャズのライブシーンとは別世界の価値観があって僕はペーペー新参者です(笑)。

 

サラリーマンの世界も、リモートになって「会社にいるだけ」の生産性の低い人をあぶり出した、なんて話をよく聞きます(僕はよくわかりませんが)。音楽の世界もそうだろうし、こんなやり方でなんとか還暦越えした僕なんかは、ジャズをビジネスの場と考えると(実感ではほとんど成り立たない感じですが、それを生業にしているので、生きて行くためには最低限のビジネスとして成立させないと自分が終わるって話です)、まあ旧既得権益層、あるいは恐竜的なベテランってところでしょう。コロナ時代が始まった3月あたりに「恐竜が鳥に進化すべく…」というようなことをSNSで呟いたんですが、始祖鳥になれたんだかどうか…(苦笑)。機敏に動ける若手はいわば哺乳類ってところでしょうか。恐竜は「自分のミュージシャン業の延命治療」とかそんなことしか考えられないからね。

 

 

教えることに関しては、ズームでの遠隔授業やレッスンは当たり前になりました。僕は、それにうまく対応するスキルを持っているとは自分では全く思ってないけど(全く好きじゃないし)、何度も心折れながらもガンバったと思っています。。5月に始めた「布川俊樹 JAZZ GUITAR オンラインサロン」では、地方の方々との新たな繋がりの場もでき始めました。また昨年からコツコツアップしていた教則映像的な内容を大学の授業にも生かすことができました。

 

コロナ元年はなんとか生き抜いて年は越せたけど問題は今年ですね。昨年のような給付金などの援助は期待できない。最近はとみにレコーディング仕事もなくなって僕のような「ジャズ渡世人」的に生きてきた人間は、このライブ業の残状では生き抜くことは難しい、というのが現実です。ネットでライブを配信することは、地方の人たちへの新たな伝達方法になったとはいえ、僕はやはり副次的なものと考えています。このコロナ時代には「仕方なく(たぶんミュージシャンとお店の苦肉の策として)」それが主流になったけど、もしリアルライブ時代が戻れば、それは併用するものとして使われるものになる気がしています。

 

昨年、自分が気合いを入れてやったライブの1つは10月末 Virtuoso赤坂でのVALIS Quattroのライブ2日間でした。2日めは一般公開して常時100人以上の視聴者がありました。でも投げ銭をして頂けるのはだいたい40人くらいの方々(矢堀店長の話だとそれでもいい方だそうです)。それではなかなかリハーサルや経費を使ってやる気合い入ったプロジェクトをやることは難しい。聴く側も乱立する配信ライブに食傷気味になっているって思います。

 

ここで、いままでジャズのお店などに行ってたけど、コロナ時代になって足が遠のいた方々へお願いがあります。もちろん、いまお店のライブに行ったりする気にならないことはよくわかります。会社からそういうことをするな、みたいな話になってる話も聞きます。非常にミュージシャンからこんなことを言うのも心苦しいのですが、ライブに来られないにしても、何らかの形で応援して頂けると嬉しいです。これは僕への、という話ではなくて、音楽シーンへの支援という意味です。ミュージシャンや多くのお店は苦境に喘いでいるし、今年も生き延びるためには、スポンサー支援しかないと思うからです。それがなければ、相変わらずミュージシャンやライブ業はただただサバイバルという話になって、狭いパイを取り合って、ジャズのようなニッチなジャンルはもっと縮小します。

 

いままででこんなことを言ったことはありませんが、いまこの「コロナ時代」のミュージシャンサイドの切なる願いです。

 

僕個人としては、今年もサバイブすべく色々なことをやって行くと思います。是非オンラインサロンを覗いてみてください。楽しいですよ(ハッハッハ)。

 

今年もよろしくお願いいたします。

 

 

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