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Mr.パット.マルティーノが洗足音大にやって来た! [音楽雑感]


秋の眩しい陽光の昼下がり、黒塗りのタクシーが煉瓦色の門をゆっくりとくぐった。ドアが開き、黒いショートコートを来た銀髪のスリムな紳士が静かに姿を現す。一目で気品と風格を感じさせるダンディー、彼こそがジャズ.ギター歴史上の真のカリスマ、Mr.パット.マルティーノその人であった。

11月6日正午過ぎ、私は香取教授と通訳の高木さんと共に、溝ノ口洗足音大正門で、彼と奥様のアヤコさん、ロードマネージャー氏の3人を出迎えた。ジャズコースの一大イベント、パット.マルティーノWorkshopが急遽実現したのである。初対面の挨拶を交わして、如何にこの企画が大学ジャズコースにとって意義あることなのか、どれほど私達が感謝しているかを彼らに伝えた。

控え室よりWorkshop会場となる教室が正門に近かったので、まずはサウンドチェックをすることに。教室へ入ると、開始約45分前ながら、かなりの学生が前の席を取ろうと集まっていた。パットさんが教壇に立つと、何とも言えない緊張感と静謐が教室を満たした。そしてそのサウンドチェックの一音であの圧倒的なオーラが教室を支配したのだった。「涙出そう」なんて言っているギター学生も…。

サウンドチェックを終え、控え室に向かいながら、パットさんはこの日の学生の数や彼らがどういうコースの学生であるか、何を習っているのか、というようなことを丁寧に尋ねて来た。それに答えつつ、こちら側の状況を少し話した。実は、前日にWorkshop用資料が大学に送られて来ていた。かなりギタリストに特化している内容にも感じたので、この日の学生は半分以上は他の楽器だということを伝えると、彼は「自分の音楽はギターという楽器から生まれて来たもので、そこから発想やアイディアを得ているから、すべての楽器プレイヤーに自分の体験を話して行くことは有意義だ」というようなことを仰った。実にごもっともであるので、基本的に任せることに(と言うか僕ごときが口を出してもしょうがないわけだが…笑)。

ジャズコースがある建物ブラックホールのオフィスが控え室。軽く雑談などしつつ、ここはチャンスとばかり(Workshop終わってからは時間があるかわからないからね)「May I ask a favor of you before the workshop starts?」

ってことで……、




歴史的巨匠ギタリストを囲んで、ぬのさんとミッチー。
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この控え室から早くも彼の音楽談義は始まった。「後は本番でお願いします」ってことで(笑)、いざ教室へ。



それから2時間弱。有難い深淵なお言葉の数々を頂戴しました(パットさんも何度もProfoundって言ってたな)。


彼はあのお歳にして、重いギターを抱え2時間近く座ることもなく、話し続けた(弾くよりも話が中心だった)。その情熱にまず驚く。でもそれはシンプルに彼にとって喜びであるに違いない。

そう、僕が彼の言葉から強く感じたことは、彼にとって「人生=表現=Joy(喜び)=コミュニケーション=音楽」であり、それらは自然にシンプルに分つことなく体現されているということ。

以下、この日の彼の至言から(愚生大幅解釈もあり)。

「ギターはおもちゃのようなものであって僕にJoyを与えてくれる」
「ギターが私の先生だった。それぞれの楽器が自分の方法を教えてくれる先生だ」
「先生に習ってピックの持ち方を変えたら楽しくなくなってしまった」
「弾く力が強くて弦を切ってしまう。でも弱く弾いたら楽しくない。太い弦を張ることにした」
「僕はインプロヴィゼーションの方法をBack Doorから入った」
「Front Doorから入ってもBack Doorから入っても目指すところは同じ」
「メトロノームで練習したことはない。大体メトロノームがなかった(笑)。ラジオから流れてくる曲に合わせて練習するんだ。」
「Giant Stepsを弾くのが怖かった。メジャーコードばっかりだから。僕はマイナーコードが好きだ。」
「僕は明日朝7時のフライトでニューヨークに飛び6時間空港に滞在してパリに行き、その後すぐクロアチア。そんな生活をしながら、自問する。自分は果たして何をしたいのか?何者でありたいのか?ジェントルマンであるか?忍耐強くいられるか?」
「自分が音楽をでき、どんな場所でもそれを通じてこういった場所で初対面の君たち(学生)とコミュニケーションできる。それは有名なクラブで演奏することと同様に喜びである。」
「プロになるならないにかかわらず音楽を通じてコミュニケーションの喜びを掴んで欲しい」


こんね感じなわけですよ。

まさにピュアな最高に素敵なお方で、その音楽性は真にオリジナル。僕は正直2回位うるうるしちゃったな。自らを顧みて、どちらかと言うと相当好きなこと、Joyだけ考えてやって来た音楽家のような気もするけど、彼とは比べものにならない。ある意味子どものようであり、哲学者のようでもある人。自分の心についた錆びを洗い流してくれるような素晴らしい出会いだった。

今日はここまでにしようかな。
次回、まさにワンアンドオンリーと言える彼の音楽へのアプローチ法や音楽性について書いてみるつもり。


To Be Continued !!


P.S…今回は時間掛けて真面目に書きました(笑)。
ちなみにこちらは大学で10年間のお隣さん、ミッチー先生のブログ記事です。







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日暮“sunset”喜朗

こんにちはヽ(^◇^*)/ 。パットマルチーノ先生のブログ拝見しました。とても興味深く読ませていただきました。私も彼のプレイは大好きです。数年前にBNTでライブ見ました。布川さんのライブもお聴きしたいです。
by 日暮“sunset”喜朗 (2010-11-12 12:27) 

ぬのさん

日暮“sunset”喜朗さん、今晩は。コメントありがとうございます。いやあ、本当に素晴らしいお方でした。僕もパット巨匠のライブは何度か観てます。

芸風は違いますが、是非ワタクシのライブもどうぞ(笑)。
by ぬのさん (2010-11-12 18:57) 

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