宇宙一カッチョイイギタリスト、ジェフベックと私 [音楽雑感]
1/12朝起きた途端のことだった。スマホを見ていた息子が「えーー!ジェフベック…」。SNSを見てみると既に「哀しみのギタリスト達」で溢れかえっていた。
仕事は色々ある日だったのだが、何とも言えない寂しい気分で放心状態になって全くやる気にならない。早々に切り上げて温泉行って「ギターや音楽を始めた頃」に想いを馳せた。黄昏れた…。
この投稿は追悼投稿というより、僕の人生におけるジェフベックを書き残しておきたいと思って書いた文章だ。
SNSであれブログであれ、知人以外の追悼投稿って気分的に憚られるものだ。大したファンでもないのに(自分の音楽人生に多大な影響を与えていたとしても、もっとすごいファンが世の中には沢山いるだろうってことがわかるから)、何かそういう訃報に便乗して自分のことを書いてしまう気がするからだ。意外かもしれないけど、いままで本当に泣きそうになるくらい悲しかった音楽家の死は、チャーリーワッツしかない(自分でも何であんなに悲しいのか不思議だった)。ジェフさんは世界でトップを争う人気ギタリストで、僕より衝撃を受けている「ジェフベック命!」のギタリスト、涙にくれているジェフマニアは何万人もいることだろう。SNS見てればそれはわかる。
僕がいままで音楽家の死に際してブログで追悼投稿を書いたのは、ジムホール、チックコリア、プリンス、ジョーザヴィヌル、チャーリーヘイデン。この5人だけ。彼らは僕の音楽家人生になくてはならない人たちだ。
僕はジェフマニアではないが、ジェフベックも完全にそういう存在だ。僕にとってのライブ演奏の原体験、生まれて初めて観たコンサートが50年前、1973年5月14日日本武道館ベックボガード&アピスでの彼の初来日だったのだ。このときに、痺れた、恍惚、衝撃、鳥肌(何と言っていいかわからん)というような感覚を初めて体験した(特にLivin' Aloneのイントロ。以下URL)。まさに宇宙一カッチョイイギタリストだと思った。っていうか僕にとってカッコイイの定義になったと言ってもいい。
https://www.youtube.com/watch?v=BfV1QAGI78o
正直言えば、僕は彼のギタープレイをコピーしたことは1度もない(テーマやリフくらいは練習したことはある。Scatterbrainはピッキングの練習になったものだ)。アルバムは8割くらいは持ってると思う。彼のプレイってあまりに素晴らしい歌い方、表現と断片的なフレージングで「できるわけない」と思うからマネしたいって全く思わなかった。クラプトン初期とかの方が端正だからコピーしやすかった。
強く僕に影響を与えたのは、彼の魂、歌い方、そして音楽の全体のサウンドだ。プレイは全くマネしなかったけど、曲の雰囲気、質感は影響受けた。
50年前に受けた衝撃とエクスタシーを追い求めて50年間音楽(ギター演奏)をやっているのだから。
VALISの曲でもそういう意識で作った、あるいは演奏した曲は何曲もある。何度か仕事で作った格闘技テーマソングはジェフベック様のサウンドなくてはあり得なかった(感謝)。
僕がロック聴き始めたときに出会った2つのジェフベックグループやBBA時代のサウンド。衝撃のサウンドだったBlow By Blow, Wired, There And Backと続くインスト時代(あの音楽があったから、現代の僕らはクランチやディストーションでジャズを演奏しているのだ)、90年代後半には指弾きとアームのとんでもない表現力と、テクノサウンドを融合した「Who Else」。ライブ映像で観た「A Day In The Life」のプレイには涙した。2009年に観た東京でのライブは宇宙一カッチョイイギタリスト健在だった(以下URL)。
https://nunosan.blog.ss-blog.jp/2009-02-10
その後も全く若い風貌でレジェンドロックギタリストの中で一番元気そうだったのにな…。
書いてたらまた寂しくなって来た。僕の音楽人生でなくてはならなかった多大な影響を与えてくれた偉大な先達がこれからも次々と亡くなって行くんだろうとヒシヒシと感じる。それを避けるには自分が先に逝くしかない。
改めて謹んでギター神のご冥福をお祈りいたします。どうもありがとうございました。
合掌 チックコリアさん [音楽雑感]
チックコリアさんがお亡くなりになりました。
こんな歳になると、自分に直接的な影響を与えてくれた偉大な先輩ミュージシャンの訃報に接することが年々増えています。
僕が影響を受けたような音楽アイドルの年齢を考えたら、これからより頻繁に起こっていくことになるのは間違いありません。寂しいけれど、それが歳を取るってこと、是非もないことです(「麒麟が来る」の最終回見てから気に入って使ってます…苦笑)。避けたければ、自分が死ぬしかない。
チックは僕世代のミュージシャン、ジャズファンにとって、とんでもなく巨大、偉大、唯一無二なミュージシャンです。ただ僕は彼の大ファンとは正直言えません。彼を研究したりしたことは全くありません。だからこんな文章を書くのはちょっと僭越な気分です。でもそんな僕でさえも彼のアルバムはかなり持っているし、相当聴いてきました。だから気持ちとして、チックさんの音楽と僕の関わり(実際に会ったことはありませんが)、僕の音楽人生に与えてくれた影響を書いておきたいと思ったのです。
1973年からジャズを聴き始めたので、御多分に洩れずチックさんはよく聴きました。最初は大ヒット、カモメの「Return To Forever」。ラフィエスタ、こんなにいい曲があるんだ、って子供心に思ったなあ。実はRTF2枚めの「Light As A Feather」はもっと好きかも。まあ両方ともとにかく佳曲揃い。そうしたらRTFは3枚め「第七銀河の賛歌」(ロックバンドみたいでかっちょいい邦題だ)にして大変貌、邦題だけじゃなく全然ロックでした。マハビシュヌの影響があったんだろうって僕は思ってます。このアルバム、確かスイングジャーナルで酷評だった記憶があるんだけど、僕は大好きだった。ディメオラ入ってからの時代より好き。
アルバムリリース直後、高校入学のお祝いでSONYカセットデンスケを買ってもらいました。それをなんとアホガキは中野サンプラザのチックコリア第2期 RTFのコンサートに持ち込んだのです。BB&A、マハビシュヌオーケストラに続く生まれて3回めのコンサート体験。トレンチコートにでっかいレコーダーを忍ばせて(横幅30cm以上はあったと思う)。いやはや緩い「いい時代」でした(爺のプチ武勇伝ってところですね)。YouTubeにその時期のRTFの映像がありました。僕にとっては最高ですね。ビルコナーズってこんなに素晴らしいギタリストだったのか。なんでその後アイコン的なギタリストにならなかったんだろうな…。レニーホワイトも強烈なグルーヴ。
https://www.youtube.com/watch?v=ppUpj90YAFU
ちょっとこの時期(僕がジャズを聴き始めてから高校くらいまで)のことをウィキペディアで調べてみると、アルバムのリリースのペースに相当ビックリです。RTFが以下。
Return To Forever (72)
Light As A Feather (72)
Hymn Of The Seventh Galaxy(73)
Where Have I known You Before(74)
No Mystery (75)
Romantic Worrior(76)
ソロリーダーアルバムは
Crystal Silence(72)
妖精(76)
My Spanish Heart(76)
ほとんどオリジナル曲ばかりであの最上のクウォリティー、ものすごいクリエイティビティー、巨大な音楽力に唖然とします。
あと、マイルス時代のチックも好きだった。「Black Beauty」「Miles at Filmore Live」や「Bitches Brew」での歪んだエレピでの強烈なソロ、ああいう感覚はロックから入ったジャズ小僧にはめちゃ刺激的で痺れました。
アコースティックものでの僕に取ってのベストは「Now He Sings, Now He Sobs」とゲイリーバートンとのデュオコンサートライブ盤かな。ジャケットも音も堪らなかった。美の極致! このデュオの映像も探したら結構ありました。
以下は2011年のライブです。
https://www.youtube.com/watch?v=khwF8v6voIE
アンコール「Armando’s Rumba」でチックとゲイリーでヴィブラフォンの連弾してます。そりゃーそうだ、ピアニストであんなにドラムも上手きゃあヴァイブもできるよなあ。いやはや才人です。
ただ、大学ジャズ研に入ってからは、僕はチックはあまり聴かなくなりました。ピアニストでは断然ハービーハンコックにハマった。ハービーとチックのデュオとかでは、ハービー応援する感じでしたね(笑)。アルバム「マッドハッター」でもやけにハービーのソロが印象に残っています。
大学4年のとき、豊島園ジャズフェスティバルっていう学生ジャズコンテストに出ました。そのときは僕の恩人ドラマー、故滝澤謙治ドクターを擁するバンドで「Samba Song」を演奏、優勝することができました。かなりの難曲、相当練習しましたねえ。人生で最も演奏したであろうチックの曲「Spain」もその頃初めて学祭でやりましたね。
プロになってからは、チックの音楽は自分とは目指すところが違う感じだったんですが、まあ色々曲はやったな。あまりに名曲が多いから必然的にコンテンポラリーなジャズセッションなどではやることになるのです。
1998年、初のソロアルバム「Departure」のレコーディングをLAで行いました。そのときのスタジオはなんと Mad Hatter Studio。チックがかつて持っていたスタジオです。結構気分が上がって「Mad Hatter Blues」っていうトリッキーなブルース曲を書きました。僕のチックに対するイメージってところ。そのレコーディングのサックス奏者は最高にカッコよかったボブバーグ。一時期チックのバンドもやっていた、僕がいままで共演したフロントプレイヤーで一番凄い、上手いと思ったミュージシャンです。彼が録音終わって言いました。「曲も難しくなくて楽しかったよ」。僕は苦笑しつつ聞きました。「ボブさんくらい凄いプレイヤーはどんな曲が難しいの?」「チックの曲は難しいな」「なるほど、そりゃそうですね」。そんな会話になりました。
レコーディングエンジニアはずっとチックのレコーディングをやっていたバーニーカーシュさんでした。彼とはミックスなど相当長い時間一緒にいたので色々なことを喋りました。チックのことも色々語ってくれました。彼が経験したレコーディングで一番の経験は、上記のチックとゲイリーのチューリッヒのライブレコーディングだそうです。もう何かが降りて来たような崇高な体験をした、みたいなことを言ってましたね。
このコロナ時代になって、チックはいわゆるオンラインスクール(サロン?)みたいなものを始めて、世界中に自宅からの演奏映像を公開していたようです。僕は少しだけしか見たことはありませんが、最後に自分の音楽とそれに向かう精神性を伝えたかったのかもしれない、と亡くなったときに思いましたね。ホロっとしました。色々なライブでの仕草を見てても、人間性がなんとも素晴らしいんだろうな、面白い方なんだろうな、という気がします。どう考えても偉人ですね。
長きに渡る膨大な素晴らしい演奏、作品の数々、感謝の念に堪えません。どうもありがとうございました。謹んで御冥福をお祈りいたします。

「プロの会話を盗み聞き」本日スタート! [音楽雑感]
僕の人生における世界一のエンターテイナー [音楽雑感]
ポールマッカートニーの東京ドームコンサート初日に行って来ました。5年ぶり2回め。
以下は5年前のブログ記事
https://nunosan.blog.so-net.ne.jp/2013-12-20
めちゃ、フォントが小さい(苦笑)。
●10/30(火)予習
快晴の気持ちいい休日は朝からずっと事務仕事(休日って言わないか…汗)。BGMは翌日に備えてウチにあるビートルズCDからオリジナルアルバムを引っ張り出して片っ端からかけてます。微妙に揃ってないな。驚くのは最初のアルバムから2年後にはラバーソウル!!リボルバーとかも50年後のいま聴いてホントにカッコいいロック(90年代くらいのサウンドに聴こえる)。ジョージのインドっぽいやつとか中学生の頃は、ただ「変」って思ってたけど(苦笑)、いま聴くとこれがいいんだよな。
●10/31(水)本番当日
大学の授業をそわそわしながら終えて、後楽園に向かいます。まだ、コンサート残ってるからネタバレ内容は書きません。セットリストをメモしてたんだけど、新譜(36年ぶり全米ナンバー1だということです)もチェックしてたし9割以上わかったな。会場は何度も「カラオケドーム」に(もちろん僕も熱唱…笑)。
とにかく76歳の人間があれだけのステージをできることにただただ感動。超人の中の超人です。全37曲(アンコール6曲)歌いっぱなし弾きっぱなし3時間弱。水を飲んでるところさえ全く見せない(微妙に楽器替えのときにやってるのかもだけど…)。過去の曲は現在にアップデイトされていて(別に新しいアレンジだから、とかそういう意味ではなく)、彼は76歳という歳の「現在」、ひょっとしたら未来を生きている。まあ先はわからないけど、80になってもできそうな元気さでした。
ちょっと自分が、最近ヒマ爺でブルー気味だったから(苦笑)、ホントに観てよかった。
間違いなく僕の人生における世界一のエンターテイナーです。
音楽はいいです…。
●11/4(日)復習
今週は何と言ってもポールのコンサートでした。同居の某大学生ドラマーは僕と全く違ってやたらコンサートグッズを買います(僕は買ったことない)。映画に行く度にパンフレット買うし。今回はTシャツ3枚とこのパンフレットで計1.7万!なかなかやるな。ストーンズやクイーンのときも買ってたし。
ポールのインタビュー記事で最もよかったものを1つ。
「長年に渡って、数多くの驚異的な人たちとコラボレートしてきました。フェイバリットは誰ですか。」
「ジョン。」(涙)
あと公演も僅か。万難を排して観に行くことをお勧めします。
P.S…最近観たジョンのあまりに最高なサウンドの映像。こんなバンドでギター弾きたいです。
春休みジャズフレージング特別講座「ジャズギター初心者に向けて」番外編 [音楽雑感]
ジャズギター初心者に対する投稿 Part 3 に対する塩田さんから興味深い質問がありました。それに関してお答えしましょう。多分急に話が難しくなったかもですがしょうがない(苦笑)。塩田さんの質問は以下です。
Q:小生が取り組んでいるのは、なるたけ多くのllm7-V7-lのフレーズを覚えることです。覚えたら、色々な曲やキーに対応させたいと思ってます。覚える際、スタートの音がllmのコードの何の音に当たるかは把握しているのですが、フレーズ全ての音をきちっと把握していません。(中略)自分はこうやってフレーズを多く覚えてソロを組み立てるのが自分の限界かなと思っています。
そういう現状を踏まえて、布川プロのレッスン内容を考えると、覚えているフレーズを塊でなく、1音1音相対音感で捉えられるようにした方がよいということでしょうか?具体的には、各フレーズをゆっくり弾いて個々の音を把握できるようにする?これをちゃんと把握し、色々なキーでフレーズを弾ければ、結果としてポジションも把握できるということになるのかと。布川プロのレッスンの本旨とは外れていると思うのですが、ご助言頂けると助かります。
直接的な回答ではありませんでしたが(苦笑)。以下のようにお答えしました。
まず、ジャズ初心者がジャズを演奏するのに、塩田さんのやり方は、確かに「それもあり」とは言えましょう。僕も教え始めた頃はそういうやり方を推奨していました。ただ思うことは、そのやり方でジャズ初心者にそれなりにジャズをジャズらしく演奏することはできるようになりますが、本来のジャズプレイヤーに必要なインプロヴィゼーション能力を上げることには必ずしも繋がらないということです(繋がる場合もあります。人によります。)。
つまり、コード進行の美味しい箇所でドミナントモーションのフレージング(あるいはサブドミナントやトニックでもよい。サブドミナントllmからドミナントモーションに繋げればいわゆるll-V-Iフレーズになるわけです)を使ってみよう、というやり方は英会話で場面場面で使うフレーズを覚えるやり方に似てます。それがその場面と違う曲や展開になったときに、本来のジャズ的即興能力がなければ、何も喋れないということになりがち。例えば色々なll-V-Iフレーズを覚えている人がファンクの一発ものとかでフレージングが思いつかないとかいう例をいままで生徒で何人も見て来ました。
それで、僕は、いまの塩田さんのやり方を否定するわけではありません。ll-V-Iフレーズを弾けばいきなりジャズっぽい感じにはなるし(リズムやアーティキュレーションのことはおいといて)、それを上手く繋げれば1,2コーラスくらいのソロを作ることはできるでしょう。何処かでライブ演奏でもするとして、それで充分達成感はあるかもしれません。そういう風にして楽しんでいる人は生徒でもいます。
ただ、そのやり方は、そうですねえ…、クラシックの曲を覚えるとかコピーバンドで弾くような類いと似ています。
そんな難しいフレーズをいくつも並べて弾かなくても、いい感じにアドリブでソロをすることはできます。インプロヴィゼーション能力があれば、ラドレミくらいの音数でかなりいい感じにジャズっぽく弾けます。もっと極端に言えば2音、あるいは1音でもソロはできるってことです(8小節は持ちますね)。
もし、仮に象さんのメロディーを頭に思い浮かべながら弾くことができなくて、ll-V-Iフレーズを弾けるのであれば、それはジャズっぽいメロディーは知っているけど、インプロヴィゼーション能力はないと言えます。
だから、これは取捨選択。ジャズっぽいソロを2コーラスくらいライブで取りたいっていうのならば、予めソロをそういうフレーズ集でも上手く使って作ればいいんです(僕は大学ジャズ研時代のコンサートとかそういうことをやりました。1年のときでしたが…。コピーバンドに近いです)。上手く弾ければそれは「それらしく」なります。
でも、根本的にインプロヴィゼーション能力を高めたいのなら、やっぱり象さんが弾けないとまずいと僕は思います。それで、簡単な音列(なるべく少ない音数で始める)だけでそれなりにプレイができるということが大切だと考えています。でも上手くないうちは、ドとレだけ弾いてたらそれはつまらないでしょうね(笑)。
だから、こういうのが両方のバランス。ll-V-Iフレーズを覚えたら、とにかくそれをメロディーとして覚える。あるいは2小節くらいの長いものだったら短い単位にして覚える。そういうものを辺り構わず使ってみる。一発もので使ったっていいんです。コード進行を譜面とかで見ちゃいけない(そうすると目からの情報でフレーズをはめに行くようになるから)。例えば、ミソラッドーって上がるフレーズ(3拍めから出て次の小節のアタマにドーって行くのが一番自然)。単純な音使いだけど、たぶん何処で弾いてもジャズっぽいです。あるいはもうちょっと難しくなってソファレレ#ミっていうダブルクロマチックのフレーズ。弾いたとたんに、「おぬし、ジャズフレーズ知ってるな…」みたいになるフレーズです。これ、試しにメジャーキー、あるいはブルースなどで1コーラステキトーに弾き続けてみてください。間違いなくどこでもサウンドします。
答になってますでしょうか?
いわきの素晴らしいサックス奏者の下田まりこさんから前回のPart 3番外編にコメントと質問があったので、Part3 番外編2としてまた投稿します。
彼女は、色々な人のアドリブ練習法を聞いて、大きくは「フレーズ覚える派」と「その場でメロディー発想する派」に分かれていると感じたそうです。で、僕は「フレーズ覚える派」と「その場でメロディー発想する派」と分けて考えていません。ですから、確かに「両方のアプローチが合わさっている」んでしょうね。
どういうことかと言うと、フレーズっていうのは、僕はメロディーだと思ってるのです。いわゆるジャズフレーズ(バップフレーズかな)はかなり複雑で歌いにくいものも多いですが、歴史的に認められたメロディーってところかな。
もっとコンテンポラリージャズ的な複雑なメカニカルなフレーズでも核となる音があってやはりそれはメロディーと捉えています(あまりに速いフレーズはサウンドの塊やハーモニーとなってしまいますが)。
当然ながら、ジャズ研時代の練習段階では、色々フレーズをコピーしましたよ。
例えばミーレラファミレーってフレーズがあるとします(レラファは3連)。ジャズやってる人なら皆知ってるllm(9)っぽいアルペジオフレーズ(多分まりこさんも知ってる)。これをDm7の場所で弾けばそりゃーアルペジオだから合います。でもCキーの曲で適当なところでこのフレーズ弾いても結構合います。トニックっぽいミソシレシドミソなんかだったら、ほとんどどこでも合います。だからコピーしたフレーズはコード進行見てはめて行くのではなく、転調しないのであれば、片っ端からスタンダード曲とかで弾いて行けばいいんです(ドミナントモーションのフレーズだけは、コード弾いてるようなもんだからちょっと違いますが)。そういう意味では「フレーズは覚えたけど、コード進行見て嵌めてはいない」という感じでしょうか。
何てことを言ってますが(笑)、正直言えば初期段階(大学1年生の頃)ではかなりフレーズ嵌める練習もしました。ブルースとかで何コーラスも弾いて必ずドミナントモーションのところで同じフレーズを弾くとかそういう練習。フレーズを身体に入れる練習ですね。そうしてフレーズが身に付けば、後は勘でどこで弾けばサウンドするかがわかるようになって来る。
話をミーレラファミレーに戻すと、これもフレーズを嵌めるのではなく、全体のサウンドの感じを覚えれば、いくらでもヴァリエーションを作れます。まず、リズムを変える。全部8分音符でミレラファミレー、音を変えてミドラファミレー、ミド#ラファミレーにしたらllmmaj7っぽくなって(メロディックマイナーっぽいとも言える)かっこいい。拍をずらすこともできる。2拍めから出て「うんミレラファミレー」、3拍めから出て、「うんうんミレラファミレー」、4拍めから出て「うんうんうんミレラファミレー」全部OKです。ただ8分音符ずらしたら何か変なメロディーになります。8分音符を四分音符にしてもいいし、「うミッレ…」とかシンコペーションにしてもいい。そういうことを実際にやってみるわけです。結構違ったフレーズみたいになるかもしれない。
質問に戻ると、「フレーズ覚える練習」と「その場でメロディー発想する練習」は常に並行してやっていたと思います。ちなみに、僕は変な奴で(笑)、ギター始めて数ヶ月からアドリブ練習をしてました。だから常に後者のことはやって来たと言えます。あと、いまは「フレーズ覚える練習」はほとんどしません。ただフレーズを作ることはたまにやってます。
P.S…何かだんだん本格連載になって来ちゃったぞ。どこまで続けられるだろう…。
昨日の羽生さんのエキジビションの音楽、「星降る夜」の元曲思い出すのに1時間くらいかかった。これが爺ってことですな(苦笑)。
最初、頭に浮かんだのはチャイコフスキー「白鳥の湖」。やった!と3秒くらい思って、うん??何か違うぞ(苦笑)。
もちろんサンサーンスの「白鳥」。あまりに綺麗なメロディーなので、最近ソルフェージュの話とかも書いてるし、酒飲みながらテレビと一緒にメロディーを弾いてみた。なるほど、こうなってるのか…。Dbメジャーキーからマイナーっぽくなって(b3のE音に行く)それがFメロディックマイナーの導音。スケールで上がって行って高音Abの盛り上がり!
その後パッと落としてそのままFベースでDbキーに戻る。同じメロディーが全音で下がる。とにかく美しい。そしてEbドリアン。この辺りの件りがポールマッカートニーみたいって思った。スケールの上がり下りとちょっとした転調でこんなに美しくなるんだなあ。トニックディミニッシュっぽいサウンドもすごくいい。
若い頃は、こんな風にテレビでかかる音楽を直ぐ弾く練習をよくしたものです。
春休みジャズフレージング特別講座「ジャズギター初心者に向けて」(第2回) [音楽雑感]
●「ジャズギター初心者に向けて」Part 7 (2/27 記)
おはようございます。春休みのジャズギター初心者講座を何となく続けております(笑)。僕は、かねがねアドリブソロ初心者には音数を減らして(2音、3音だけ使ってプレイをすることから始める)フレージングすることを勧めていました。で、そこからメジャーペンタ、あるいはブルーノートペンタ、それを合体させたブルーススケールという風にやっていました。
今朝急にあることに気がつきました。僕は理論書の類いをまったく読んだことがないので、こういう考え方を言ってる人がいるのかどうかは知らないのですが、上記の考え方がもっと整理されました。少なくともブルースを基本としているもの(ジャズも元はそうです)のフレージングには有効だと直感しています。それは……
4つのペンタトニックがあるということです。
まず、2音でのフレージングを考えます。主音(ド)の下に1音使ってフレージングするのは、2タイプあります。
(1)6thタイプ…ド、ラを使う
(2)b7thタイプ(略して7thタイプ)…ド、シbを使う
次に3音に拡張します。(1)にはレを加えて、ド、ラ、レを使う。(2)には3度のミを加えます。ここでこのタイプには2通りができます。ミを長3度にしてもいいし、ブルーノートにしてb3度にしてもよいのです。ド、シb、ミbの3音を使うものを7thタイプBとします。ド、シb、ミの3音を使うものを7thタイプMとします。
次に4音に拡張します。(1)にはミを加えます。ここでも長3度とブルーノートの2つの可能性が出ます。ド、ラ、レ、ミの4音を使うものを 6thタイプM、ド、ラ、レ、ミbの4音を使うものを6thタイプBとします。(2)にはファの音を加えます。この時点で4つのタイプが出て来たわけですね。
最後に5音に拡張してペンタトニックになります。これはどのタイプでもソの音を加えます。主音ドを中心として、上のソ、下のソまでの音域でフレージングする練習です。ギター指板上で考えると4弦5フレットG音から1弦3フレットG音までの間になります。A音は3弦2フレット、Bb音は3弦3フレットで弾きます(主音Cとの関係が捉えやすいから)。
さて、まとめてみましょう。
(1)6thタイプM…ド、ラ、レ、ミ、ソ(いわゆるメジャーペンタ)
(2)6thタイプB…ド、ラ、レ、ミb、ソ(何て名付けようかな…笑。ブルーノート6thペンタとか)
(3)7thタイプB…ド、シb、ミb、ファ、ソ(いわゆるブルーノートペンタ)
(4)7thタイプM…ド、シb、ミ、ファ、ソ(ミクソペンタと名付けてみます…笑)
こういう手順で作って行けば多分わかりやすい。実際のフレージングをどうして行くかは次回に説明しますね。
さて、「ジャズギター初心者へ向けて」って気まぐれに始めた春休み講座ですが、これ、ジャズギター初心者だけじゃなくて、アドリブソロ未体験者(吹奏楽やってた高校生とか)に対してすごくよい方法のような気もして来ました。来年度の1年生アンサンブルとかでやってみようかな…なんて思っている今朝です。
実際のフレージング作ってみると、我ながらいいやり方だと思うんだけどな(笑)。
●「ジャズギター初心者に向けて」Part 8 (2/27 記)
4つのペンタへの道!
それでは Part 7の方法で実際に8小節のフレージングを考えてみます。
まずは2音で作ります。(1)6thタイプでドとラだけです。
No.1
8 ーーーー ーラドー (アウフタクトで出る)
1 ドッーー ーーーラ
2 ッドーー ドーラド
3 ーードー ラドーー
4 ドーラド ッドッド
5 ーーーー ードラー
6 ーーーー ラドドラ
7 ドッドッ ラッーー
8 ーーーー ーラドー
何かビリーズバウンスみたいですね(笑)。ブルースではたぶんバッチリ使えるし、何か循環みたいので8小節弾くのでも大丈夫でしょう。
次は No.1 のフレージング(2)b7thタイプにしてみます。ラをシbに置き換えただけです。
No.2
8 ーーーー ーシbドー (アウフタクトで出る)
1 ドッーー ーーーシb
2 ッドーー ドーシbド
3 ーードー シbドーー
4 ドーシbド ッドッド
5 ーーーー ードシbー
6 ーーーー シbドドシb
7 ドッドッ シbッーー
8 ーーーー ーシbドー
これもまったくOKですけど7thがあまりに強調されているので、メジャーキーでやったらブルース味強過ぎかもですね。
2音だけ使って弾いてると、何か高く上がったり他の音を入れたりしたくなって来ませんか?これがフレージングへの欲望なのです。それから、これはキーCならばどんな進行で弾いても合うとは残念ながら言えません。でもやってみる価値はあります。何か変だな?と「感じる」ことも大切です。
次は、実験をしてみます。No.1のドとラを試しに入れ替えてみます。
No.3
8 ーーーー ードラー (アウフタクトで出る)
1 ラッーー ーーード
2 ッラーー ラードラ
3 ーーラー ドラーー
4 ラードラ ッラッラ
5 ーーーー ーラドー
6 ーーーー ドララド
7 ラッラッ ドッーー
8 ーーーー ードラー
このフレージングだけ聴いたら、まるでAmキーみたいに聞こえます。でも、循環進行とかに乗せたら意外にいい感じです。ちょっと僕もビックリ!!ブルースだと若干違和感ありますね。
でもいいかげんに次の音を入れたくなって来るのが人情(笑)。あと、とにかく2音だけだとメロディーっていうより譜割り勝負であります。
是非、この実例を参考にアドリブで2音フレージングの練習をしてみてくださいね。4小節、8小節の流れを意識することが大切。
さて、この春休み講座、いつまで続くのか…(笑)。
●「ジャズギター初心者に向けて」Part 9 (2/28 記)
おはようございます。まだまだ春休みの講座は続きます。Part 7の実例を続けて行きましょう。
前回 Part 8 の2音を3音に拡張します。今回はCブルースにしましょう。わかりやすいかもです。
(1)6thタイプでドとラとレの3音を使ったフレージングです。
No.4
12 ーーーー ーラドー (アウフタクトで出る)
1 ドッーー レドラド
2 ーーレー ーーーー
3 ードッー レドラー
4 ーーーー ーラドー
5 レッーー レドッー
6 ーーーー レドラド
7 ーーラー ーーーー
8 ーーーー ードラー
9 ーレッー レッーー
10 レドラッ ーラドッ
11 ーーレド ラッーー
12 ーーーー ーラドー
(2)次は7thタイプです。ドとシbとミ(or ミb)の3音を使ったフレージングです。なんのことはなくてNo.4の音を置き換えただけですけどね。ただ3度には2つの可能性があるので、混ぜて使っています。
No.5
12 ーーーー ーシbドー (アウフタクトで出る)
1 ドッーー ミドシbド
2 ーーミー ーーーー
3 ードッー ミドシbー
4 ーーーー ーシbドー
5 ミbッーー ミbドッー
6 ーーーー ミbドシbド
7 ーーシbー ーーーー
8 ーーーー ードシbー
9 ーミッー ミbッーー
10 ミbドシbッ ーミドッ
11 ーーミbド シbッーー
12 ーーーー ーシbドー
このようにブルース進行の場合、サブドミナント F7に言ったときにブルーノートであるEb音に行くとブルース進行の感じが出ます(これ、あまりに定番な方法なんで覚えておきましょう!)。No.4よりやっぱりブルースっぽいかな。
(3)次は4音タイプ。ここで6thタイプも長3度かブルーノートかの2択になります。両方を使って感じを出します。
No.6
12 ーーーー ーラドー (アウフタクトで出る)
1 ミッーー レドラド
2 ーーーー ーラドー
3 ードッー ミドラッ
4 ーーーー ーミbドー
5 ーミbッー ーーーー
6 ミbドレド ーーラド
7 ミドーー ミドラー
8 ーーーー ードラー
9 ドドッー ーーーー
10 ーラドッー ミbーーー
11 ミミッー ドミドー
12 ーーーー ーラドー
(4)次は4音7thタイプです。
No.7
12 ーーーー ーシbドー (アウフタクトで出る)
1 ミッーー ファーミド
2 ーーーー ーシbドー
3 ードッー ミードシb
4 ーーーー ーミドー
5 ーファッー ーーーー
6 ミbドファミb ーーーー
7 ーーシbド ミードシb
8 ーーーー ーシbドー
9 ーミッー ファミッー
10 ミbッーー ーシbドッ
11 ミミッー ファミドー
12 ッシbッー シbドッー
同じ人が作ってるから何か似た感じになっちゃいますな(苦笑)。それも続けて書いてるから記憶が残ってるのがいけない…。
さて、今回はここまで。次回でいよいよペンタトニック5音となります。
●「ジャズギター初心者に向けて」Part 10 (2/28 記)
さて、今回がPart 7であげた4つのペンタトニックの実例ということになります。Cブルースです。
(1)まずは、Part 7で上げた6thタイプの2つのペンタトニック、メジャーペンタトニックとブルーノート6thペンタトニック(僕の造語)を使ったブルースのフレージングです。2つは混ぜて使ってみました。ドとラとレとミ(ミb)、ソの5音を使います。2コーラス作ってみました。
No.8
12 ーーーー ミソラッ (アウフタクトで出る)
1 ドッーー ーーミド
2 ーーーー レドラド
3 ーーミッ ーーーー
4 ーーラソ ミbレドラ (最初のラは上に上がる)
5 ドッドー ミbーーー
6 ーーーー レドラソ
7 ーーラソ ーーーー
8 ーーーー ミソミソ (ミの音をミbからスライドしてしゃくり上げると感じが出るよ…笑)
9 ミドラー ーーーー
10 ーーーー ラドドラ
11 ドッミー ソーーー (ソは下が落ち着く)
12 ーーーー ーソラド
1 ーソラド ーソラド
2 ミbドレド ーーーー
3 ラソラソ ミッドド (ラは上に上がる)
4 ーーミー ーーーー
5 ーミbドー ドッーー
6 ミbーミbレ ドーラソ
7 ーーーー ーーーー
8 ーーーー ソッミー (ミの音をミbからスライドしてしゃくり上げると感じが出るよ…笑)
9 ドッドミ ーーーー
10 ーーーー レドラド
11 ーーラー ーーー
12 ーソラド ミソラド (下のソから上がって行く)
あー、ファに行きたくてしょうがない(笑)。
(2)次は7thタイプの2つのペンタトニック、ブルーノートペンタトニックとミクソペンタトニック(僕の造語)を使ったブルースのフレージングです。やはり2つは混ぜて使っています。
No.9
12 ーーーー ーーミッ (アウフタクトで出る)
1 ドッーー ーーミッ
2 ファミファミ ドッミー
3 ドッーー シbソシbソ
4 ーーーー ーソシbド
5 ミbドーー ミbーーー
6 ーーーー ミbドファミ (後のミはナチュラルに敢えてしてます。いい感じでしょ?)
7 ドッーー ーーシbソ
8 ーーーー ーシbドミ
9 ファーーー ーーーー (思い切り1小節伸ばす。tpみたいに)
10 ーーソファ ミドドッ
11 ドッミー ーーーー
12 ファミドソ ーーーー (ソは下が落ち着く)
1 ーソファミ ファソッソ (上のソに上がる)
2 ーーファミb ファソッソ
3 ーーファソ ミードシb
4 ーーーー ーーミbミ(4拍めの裏はナチュラルのミに上がる)
5 ソーファミb ファソッソ
6 ーーファミb ファッーソ
7 ーーファソ ミードシb
8 ーーーー ーソシbド (下のソから)
9 ミbドドッ ーーーミ
10 ーーファソ ミドシbソ (下のソに下がる)
11 ーーーー ーーーー
12 ーーシbソ ファッミド (上のシbに上がって下がる)
やっぱりブルースって感じになりますな。
(3)これが最後。No.8とNo.9をミックスしたアイディアです。4つのペンタトニックを全部合わせるわけです。音を下から並べてみましょうか。一応3つの言い方で書きます。
C, D, Eb, E, Eb, F, G, A, Bb, C
ド、レ、ミ、ミb、ファ、ソ、ラ、シb、ド
1, 2, 3, b3, 4, 5, 6, b7, 8
ということになります。おー、これはブルーススケールじゃござりませんか!もう何とでも言えます。メジャーペンタトニックとブルーノートペンタトニックを合わせた。ミクソリディアンとドリアンを合わせたとかね(難しいこと言ってすいません…苦笑)。慣用的によく F# ファ# 4#も使いますね。
ここまで来るとかなり自由にフレージングできますね。いわゆるブルージーなフレージングになります。
作ってみましょう。
No.10
12 ーーーー ソラドミ (アウフタクトで出る)
1 ッドーー ーーーー
2 ーーラソ ミドドラ (ラは上に上がる)
3 ドーミファ ーーミド
4 シbシbーー ーソラド
5 ミbドレド ーーーー
6 ーーラソ ミbドドドラ
7 ファッミbミ ドーシbソ
8 ーーーー ーソドミ (ソは下から)
9 ファーーー ファソッー
10 ーーーー ミbミファミb (僕が人生で最初に覚えたジャズフレーズ!…笑)
11 ミッドー ソーファミ (下のミまで下がって行く)
12 ッドーー ミbドレド
1 ーーーラ ソミドラ (上のラに上がって下がる)
2 ドードミ ーーーー
3 ーラドラ ソミドラ (下のラから上のラにオクターブ上がって下がる)
4 ドードミ ファーミド
5 ーーーー ーーーー
6 ードッミb ファーミbド
7 ーーーー シbソシbソ
8 ーーーー ーソシbド (下のソから)
9 ミbミファファ# ソミッー (クロマティックで4#音も入れちゃいました)
10 ファソミbミ ドソシbド
11 ーーーー シbソファソ
12 ーーーー ーーーー
結構好きに作っちゃったんで、いきなり難易度上がったけど、もう実際のプレイみたいなブルージーなプレイになってると思います。とにかく、ブルースは元々は三行詞からできたもの。簡単なモチーフの繰り返し、間の取り方など参考にしてもらえればと思います。とにかくフレージングは歌ってください(歌えるようなフレージングだと思います)。
もし、弾いてみるなら、連載当初に書いたように、5弦3フレット~3弦5フレット~1弦8フレットまでの2オクターブ内だけでまず弾いてみましょう。その5弦からのポジションの絵柄と音程関係を覚えたいのです。
いままでのことがしっかり理解できていれば、このポジションで4つのペンタトニックの音が弾ける。ということは、最初にやったメジャースケールに加えて、ドリアンもミクソリディアンも弾けることになっているのです。
さて、この連載も10回やってキリがいい感じ。取りあえずせっかく書いたから、ここまでをブログにまとめてみようかな。
まだ続くかは、皆様の御希望次第(笑)。
P.S…以下URLに布川俊樹の最新ジャズギター教則本の情報があります。興味ある方は是非!
http://nunosan.blog.so-net.ne.jp/2016-08-25
春休みジャズフレージング特別講座「ジャズギター初心者に向けて」(第1回) [音楽雑感]
Facebookでふとレッスン備忘録のつもりで書いた「ジャズギター初心者に向けて」という投稿。そこそこ反響もあったので、何となく書き続けたら、連載「春休みジャズフレージング特別講座」になってしまいました。かなり書いたので、ブログにまとめておきます。
●「ジャズギター初心者に向けて」Part 1 (2/21記)
ジャズギター初心者、つまりギタリストでアドリブ初心者に対しての投稿です。完全なギター初心者ではなく、メジャースケール、あるいはペンタトニックを1つのポジションくらいでは弾ける(スケール練習的な意味合いで)人向けってところです。
そういう人にソロを取ってもらうと、とにかく適切な音が出せない(要するに一般的に見て外してしまう)症状に対して。実は、メジャースケール間違えなく音楽的に!弾ければソロはできる、というのが僕の考え方なのですが…。
この症状には大きく分けると2つの場合があると思います。
(1)自分の弾きたいメロディーがスケール内のどの音だかわからない
(2)どの音だかわかるが指板上の何処にあるかわからない。
(1)の場合は、やっぱりソルフェージュということになります。でも「ソルフェージュ」なんて言われると、古典音楽のお勉強みたいでもうイヤになっちゃう人もいるかもしれない。僕だって正規のソルフェージュを習ったわけじゃないし、軽い感じで行きましょう。
まずは音程を掴みたいです。ドーって1度の音を鳴らす。そうしたらレーと鳴らす。ドレドと続けて弾く。レーの音程を掴みたい。次は下がってみましょう。シーと鳴らす。ドシドって何度も弾いてみます。まずは自宅のまわり、近所から攻めるわけです。
音ひとつ飛ばしてみましょうか。ミーです。ドミドって何度も弾きます。何か歌いやすいし、いいメロディー、サウンドな気がしますよね?繰り返してると救急車のサイレンな感じです。あ、キー違うか。ドップラー効果があればドミドになるやもです(テキトー言ってます…謝)。
下に行ったらラーです。ドラドです。VALISの代表曲と言えばエルドラド!それは置いといて…。これも何かいい感じですね。ドッドラドッドラドーとかやればちょっとジャジーかもしれない。
次はファー。ドーファード。少し歌いにくいです。ドファファードとかやったら、何かウェインショーターみたい。面白いですね。一方下に行ったらソー。ドーソードーソー。大げさなクラシック曲みたいかな。上がるソーもやってみましょう。ドーソーって上がる音程が難しかったら、スターウォーズのメロディーの最初を想い出しましょう。ソソソドーソーと行きます。
上のラーはどうでしょう?ドーラーって結構歌いやすい。6度音程なんですけどね。これも定番なハモリのメロディーだからでしょう。
上のシーはちょっと難しいかな。でもトライしてみましょう。
軽く書くつもりで書き始めたらやたら長いぞ。文才ないな。
反響がそれなりにあったら続き書きましょう。
●「ジャズギター初心者に向けて」Part 2 (2/21記)
(1)自分の弾きたいメロディーがスケール内のどの音だかわからない
という症状の人へ向けての続編です。一応音程の練習を少ししたところで(歌ったり、ギターのわかるところで実際の音を確かめてみましょう)、メジャー曲で童謡程度(もう少し進んだらクリスマスソング関係とか)のメロディーの理解から始めましょう。
その前に連続するスケール音を歌ってみます。ドレミとかレミファとかドシラとかそんな感じです。必ず楽器で確認しながらやること。
次は童謡を歌います。ペンタトニック中心にできているものが多いですね。チューリップ(ドレミードレミーソミレドレミレー…)、象さん(ドーラソードーラソー、ドーレミソミミレドレ)、からす(ミーレドレーミドラドソー…)、
ここらへんができたらクリスマスソングあたりもよいですね。ほとんどメジャースケールでできてますよ。
(続く)
●「ジャズギター初心者に向けて」Part 3 (2/22 記)
さて、Part 2までは別にギターで弾けとは言ってませんでした。確認の意味で音で確認するのは大切ですけどね。メジャースケールという最も基本的なスケール(そしてその中にあるメジャーペンタトニック)の中でのメロディーを理解するということだったわけです。
ではそれを弾いてみましょう。こうなると、
(2)どの音だかわかるが指板上の何処にあるかわからない。の症状の人の話になって来るわけです。
もちろん(1)(2)両方の場合もあるでしょう。まずは5弦3フレットから3弦5フレットまでのオクターブ内で Part 2であげたようなメロディーを弾きます。3弦5フレットから1弦8フレットのオクターブ内でも弾きます。この2オクターブ内でメロディーを弾く練習をします。
で、それをある程度やったら、メジャースケールの上がり下りだけでメロディーを作る練習をします。ドレミー、ミファソー、ソーファミレー、レドシラソー、ソラシラソー…
こんな感じ。いまテキトーに書きましたが、順番で弾くと前のメロディーの塊が終わって、その終わった音から次のメロディー(フレーズと言ってもいいです)が始まってることがわかりますよね。これがメロディーを繋げて行く最初の基本です。
●「ジャズギター初心者に向けて」Part 4 (2/23 記)
前回 Part 3でメジャースケールの上がり下りだけでメロディーを作る練習をすると書きました。ここでちょっと小節感覚もつけていきたいです。
ちなみにカタカナで書いている理由は、譜面を書いて写真ファイルにするのがメンドいのと、完全初心者向けの話だから(譜面だとわからない人も多いことでしょう)。ドーやドッて書いているのが四分音符、ドは8分音符です。
前回書いたものは、そのルールだと、ドーレーミー、ミーファーソー、ソーファミレー、レドシラソー、ソラシラソーという気分で書きました。読点が入るところが小節の区切りです。弾くリズムは何でもよいです。
それでは8小節の簡単なメロディーを作ります。メジャースケールで必ず隣り合った音しか使わないルールで作ってみますね。
ドッドレミレドー、レッレミファミレー、ミッミファソファミー、ファミファソラシドレ、ミーーファーー(2分音符です)、ソーーうラソファ、ミッミミレッレレ、ドー
単純なスケールの上がり下りですが、メロディーの流れは自然だと思います。実はコード感もあるのですが、循環進行みたいなものだったら合うでしょう。こういう簡単なモチーフ展開のようなメロディーを自然に作れば覚えられます。僕は書いた段階で覚えました。こんな風に8小節くらいのメロディーをスケール上がり下りだけで作る練習をしてみるといいと思います。
ちなみに数日前読んだ羽生善治さんの本に「素人がめちゃくちゃ打ったような棋譜は覚えられない」「プロの打った盤面はパッと見れば覚えている」みたいなことがありました。
自然な流れのメロディーを簡単なスケールで作って行く。それを絶対に間違えないで弾ける。これが大切です。
まだまだ続くかも…(笑)。
●「ジャズギター初心者に向けて」Part 4 番外編 (2/24 記)
Part 4のフレージングをリズムをよりジャズっぽくしてちょっとマイナーチェンジ。誤解のないよう、2拍毎に分けて、小節番号をつけました。やっぱり「ジャズ的な譜割り」が大切!だいぶ雰囲気出たと思います。この8小節を繰り返して弾いてみましょう。
1 ドッドレ ミレドレ
2 ッレッミ ファミレー
3 ッミッファ ソファミファ
4 ーミファソ ラシドレ
5 ミーーファ ーーーソ
6 ーーーー うラソファ
7 ミッミミ レッレド
8 ーーーー うシドシ
●「ジャズギター初心者に向けて」Part 5 (2/24 記)
さて、何か書き始めたら、乗りかかった船って感じでダラダラ続いております。皆さん、お楽しみ頂いてますでしょうか?
せっかくだから曲行きましょうか。いまはメジャースケールを5弦3フレットのC、3弦5フレット、1弦8フレットの2オクターブ内で捉えてその中でメジャースケールだけを使って弾く練習、基本はスケールの上がり下りだけでメロディーを作っている段階です。
ぴったりな曲があります。ソニーロリンズのセントトーマス。こりゃーピッタリだし超有名スタンダードです。モダンジャズアルバムの名盤として名高いサキスフォンコロッサス収録曲だけど、CD持ってないなあ。昔LPは持ってたけど、20年前くらいに大量処分。名盤は意外に高く売れて帰りに寿司食べたなあ(笑)。
さて、この曲のメロディーはすべてCメジャースケールでできてます。アドリブもCメジャースケールだけでやっちゃいましょう。でももうちょっとだけ工夫してみましょうか。この曲は16小節の曲です。最初の4小節の流れが2回繰り返し。そして次の4小節、最後の4小節という構造になっています。
で、譜面があったら、3小節め、7小節め、11~12小節め、14、16小節めに、何かチェックマークをつけます。このチェックマークを付けたところを取りあえずSとしましょうか。Sの箇所ではファとラを沢山弾くようにしてみましょう。試しに何か作ってみましょうか。今回はちょっと1個音を飛ばしたりもしてみます(3度音程が登場する)。
数字は小節番号です。ーは8分休符1つ分。ミッって表記は音が短い4分音符、ミーはレガート4分音符です。
テーマラストの
15 ソッドッ シッドー(メロディーのラストの部分)
16 ーーーー レドレド
1 ミッドー ーーミッ
2 ドーーミ ーーレミ
3 ファーラソ ッファッミ
4 ーーーソ ラシドレ (ソは下に下がる)
5 ミッドー ーミッド
6 ーーーミ ーーソミ
7 ファミレド シドレド
8 ーーーー ドッレッ
9 ミーーー ーーーー
10 ミファソラ ソーミファ
11 ッミレーー ーーーー
12 ーーレド シドレー
13 ーードミ ソーミファ
14 ッラッド シーラソ
15 ーーーー ミーミファ
16 ッミッレ ーーーー
さあて、実はちょっと色々な要素が入って来ちゃったんですけどね(苦笑)。まあアルペジオ的要素なんですが、そういうことは考えなくていいです(あるいは自分で考えることが大切!)。
これをマネしてメジャースケールだけ使ってセントトーマスを練習しましょう。
この後は、スケール練習の話とかブルースかなあ…。また要望あらば(笑)。
●「ジャズギター初心者に向けて」Part 6 (2/26 記)
春休み特集、まだまだ続けましょかね。
相変わらず弾くポジションは同じ。5弦3フレット~3弦5フレット~1弦8フレットの2オクターブです。まず、ここで弾けないと話になりません。
何となくセントトーマスで色々やろうって気分になりました。
メジャースケールだけでっていうのは、やっぱり途中で違う音も弾きたくなっちゃいますね。それからちょっとコード感とか出しちゃう。まあ本書いてるわけでも授業でもないし、細かいことはいいんですけど。
実はペンタトニックだけってのも重要だと思います。
ドレミソラドっていうメジャーペンタトニックスケール。当然、メジャースケール内に音はあるから、メジャースケール内のメロディーと考えてもよいわけです。侮るなかれ、ジョーザヴィヌルでもイメージして弾くとよいと思います。
15 ソッドッ シッドー(メロディーのラストの部分)
16 ーーーー レドレド
1 ミッソー ーーーミ
2 ーラソミ ドーーー
3 ーーーー ラドッド
4 ッラッミ ッミッド
5 ーーーー ーーーミ
6 ーラソミ ドーーー
7 ーーーー レドレド
8 ミーソソ ッラッソ
9 ーーーー ーーーー
10 ッミッミ ドーーー
11 ッミッミ レッレッ
12 ーーーー レドラド
13 ッドミー ーーーー
14 ッドッド ミッミッ
15 ーーーー ッソッソ
16 ミッミド ッドソー
1 ドーーー
いかがでしたか?ゆっくりなテンポで左手で1拍め、右手で3拍めをカウントすれば譜面読めなくても何となくリズムわかるんんじゃないかな。
さあ、ドレミソラドばかり弾いてると他の音も弾きたくなって来ると予想します。実はそれがアドリブソロへのプレイヤーの気持ち、パッションというものです。ソロのフレージングへの欲望が生じるわけです。これが全ての根源なので大切!
次はブルースか音数少ないソロっていうのをもっと掘り下げます。
(続く)
P.S…以下URLに布川俊樹の最新ジャズギター教則本の情報があります。興味ある方は是非!
布川俊樹、矢堀孝一を語る(笑) [音楽雑感]
先日 DuoRamaでヴァーチュオーゾでライブやったときに「買うよ」って言ったら、ヤボちゃん、勘弁してくださいよって感じで笑いながら「あげますよ」っていうことで頂いちゃったDVD見ましたぞ。
実に内容濃い!なるほど、僕はこういう風に考えたことなかったな、っていう発想がてんこ盛り。どちらかというと、ロックの速弾きとかやってた人にもとっつきやすいアプローチだと思います。凄いテクニックのヤボちゃんだけど、こういうギターの指板の考え方をしてるのかっていうことがよくわかります。弟子だった人が自分とはまったく違った方向に行って素晴らしいギタリストになっているのは嬉しいことであり、インスパイアされますな。
全部で2時間以上、相当なコンテンツを面白おかしく味わいのある語り口で飽きさせません。僕としては、最後の特典映像が嬉しかったな。彼が色々音楽人生を語る内容、当然不肖布川の名前も出てきます。素晴らしいと思ったのは、赤坂で展開する新しいお店への考え方。1つだけあげると、彼は「お店で演奏中ガヤガヤ喋ってるの全然OK!」って件。普通のミュージシャンからは出て来ない発想だね。その理由は是非DVDをご覧あれ(笑)。
こういう映像作品も多分ほとんど自前で制作し、演奏し、ジャズギターライブBar店長として料理や店のコンセプトを考え(その店ができたのは彼のゴルフの腕前あってってところもスゴイ)、ヴァーチュオーゾレーベルまで立ち上げようっていう超多才人矢堀孝一、尊敬してますね。渡世人のワタクシは元師匠として素晴らしい弟子を持った役得ってことで(笑)、来春レーベル第一弾ライブアルバム「布川俊樹SJPトリオ Live at Virtuoso Akasaka "天空の滝"」リリースです(ヤボちゃん何とマスタリング!)。
殿下追悼(涙)… [音楽雑感]
僕がいままで追悼文をブログで書いたことはそれほど多くはありません。若い頃にものすごく影響を受けた方に限られています。
2007年春からブログを始めて以来、追悼記事を書いたミュージシャンは、記憶が正しければジョーザヴィヌル、ジムホール、チャーリーヘイデンさんの3人だけかな。それ以外だったら赤塚不二夫さんと大鵬さん。個人的関係では滝澤謙治先輩。
今回は書きます。殿下ことプリンス!
さて、僕を金字塔教則や最近の活動で知ってる方は、ちょっとコンテンポラリーっぽい正統派ジャズギタリストと思っている方も多いと思います。確かにジャズのフレージングとかは若い頃一所懸命練習したけど、20代だった1980年代は、スタンダード曲とか数えるほどしか知らなかった(いまの若手ギタリストの方が多分全然レパートリー多いだろうな)。フルアコも持ってませんでした。その頃やりたかったのは、とにかく自分のバンドサウンド。1983年新宿ピットイン朝の部に出始めた「布川俊樹 Group」。それは基本全て僕のオリジナル曲を演奏するバンドでした。それが85年のVALIS結成に繋がります。
VALISのサウンドに影響を与えたのは、モダンジャズとかではなく、ジャズジャンルで言えば、ウェザーリポート、ハービーハンコックファンクバンド、パットメセニーグループの半分くらい、ギタープレイはジョンスコフィールド師匠。そんな感じでした。
いわゆるジャズっぽいフュージョンやJフュージョンみたいなもの、リトナーとかカールトンみたいなLAフュージョンみたいのはまったくやりたくなかった。何か自分の感覚にあるオリエンタルなメロディーと中学時代に音楽に入るきっかけとなったロックなサウンド、そういうものをミックスしたかったんですね。
だから、20代の頃はジャズ以外の音楽の方がたくさん聴いていたし、影響を受けました。ビートルズ、ストーンズやツェッペリン、グランドファンク、スライ、JB、ジェフベック、クリーム、ドゥービー、ダニーハザウェイ、スティービー、EW&Fとかそういう先輩世代のものにはもちろん影響受けたわけだけど、同時代アーティストで20代の頃に影響受けたのは、スティング(ポリス)とプリンス、ピーターゲイブリエルかなあ…。あとトーマスドルビー、アンビシャスラバーズとかも好きだった。
プリンス最初に聴いたのは大学4年の頃、「Controversy」だったかな。その後はずっとフォローするようになって「Purple Rain」観に行って盛り上がったりしたもんです(当時のジョ◎カがメチャ好きだった)。まあとにかくかっこよかったし、サウンドが面白かったなあ。
たまげたのはライブ映像を観たとき。一発もののサウンドとかだけど何か新鮮でした。VALIS結成した頃、まだ僕は生田の実家に住んでいて、初っつぁんと水野(正敏)さんとか自宅に来て僕がカレーを作ってふるまったことがありました。そのときに、こんな感じのサウンドでやりたいって言ってプリンスの映像見せた記憶があります。実はそういうサウンドはJBから来てるということを知って、後からJBを聴くようになったりね。
80年代中盤のアルバムは出るたびに驚きに溢れてた。アーティストの次のサウンドが楽しみで楽しみで、っていうのは彼がダントツだったな。「Around the World In a Day」「Parade」そして僕の中での80年代最高のロックミュージック「Sign Of the Times」…。もうサージェントペパーズ級。最高でした。まだLPだったっけ…。
あと、プリンス&ザ.レボリューションの女性メンバーのウェンディー&リサってユニットも最高にかっこよかった。あれ、何でそんなに売れなかったのか相当不思議…。
コンサートはドームに3回行きましたね。ステージに風呂があったり車があったりしたときもあった(笑)。と思えば、すごくシンプルなファンクなステージのときもあった。コンサート当日に成田から到着するなんて噂もあって大丈夫かな、とか思ったり…。
90年代まではほとんどアルバムは出る度に買ってました。最近はちょっと御無沙汰だったけどどうなのかな(と言うかここ5年くらい流行もの音楽ほとんど聴いてないから)。とにかくしばらく色々聴き直してみよう。
そんなプリンス、あまりに突然な57歳での死でした(僕と完全同学年!…嘆)。あとマイケルジャクソンも同学年ですけどね。プリンスとマイケルって何かと比較されてたけど、上記のように僕はとにかくプリンスでした。マイケルは貸しレコード屋で有名レコード借りたくらいだったかな(苦笑)。
何にしても、あまりに早い「真の天才」の死を心から悼みます。残念です。謹んで御冥福をお祈りいたします。
こういうことがあると、自分の今後の人生を考えるきっかけとなりますね。心して生きて行きます。
ミッキーさんのこと [音楽雑感]
昨夜、ミッキーカーチスさんの喜寿バースデイライブにお邪魔しました。
今回は、僕の音楽界で仕事を始めるときの大恩人、尊敬するミッキーさんのことを書いてみようと思う。
ことあるごとに書いているが、僕の最初の音楽家としての仕事はミッキーカーチスさんのお仕事だった。勉強が好きで大学5年めだったから1981年夏。23歳になったあたりかな。
僕はその頃は大学界のジャズコンテスト荒らしみたいな感じで、確か5つくらい優勝したんだけど、プロになろうと思って学外の連中とバンドを組んでいた。そのうちの一人が僕より早く色々仕事していて、ミッキーさんの仕事を取って来た。ミッキーさんは、もちろん僕の母親の時代のアイドルの草分けロカビリー大スター。まだ大学生で、最初の仕事としてはあまりにラッキーな話だ。当時のミッキーさんはアルファレコードだったっけな、プロデューサーとかやってて、何か若い連中とまたバンドやりたいってノリだった。僕らはジャズとか中心にやってる連中だったから、はっきり言ってロカビリーとか全然できなかった。でも、ミッキーさんはそういうのを温かい目で見てくれて逆に面白がってくれたんだな。
当時、六本木にバレンタインっていう店がオープンするんで、ミッキーさんが週1くらいで出ることになって、ミッキーカーチス&アバンティーってバンドにしてロカビリーをアレンジしてやったり、ジャズもやったりっていう感じだった。忘れられないのは、最初の仕事とそのリハーサル。渋谷山手通り沿いのフラッシュスタジオだったと思うけど、リハーサルで Long Tall Sallyとかロックンロールの曲になると、リハでもミッキーさんはアンプの上に立ち上がって歌っちゃう。モノホンとはこういうもんかと思った(笑)。
本番は当然もっと盛り上がりなんだけど、六本木のアメリカンクラブのパーティーだった。何とギャラ40分でF万!景気のいい当時でも学生には破格だった。帰りにバンドメンツで「これで僕たちも大丈夫だね」ってビヤホール行って盛り上がった(相当甘かったが…苦笑)。
それから、週1バレンタインの仕事に加えて、懐メロコンサート、平尾雅晃さん、山下敬二郎さんとミッキーさんのロカビリー三人男の仕事はよくやった。だから僕が子供時代のスターの方とか、グループサウンズ系の方々とはよく会ったり伴奏もした。最初に行ったタビも忘れられない。京都ベラミ。僕が知っていたのは田岡組長が撃たれた場所ってことだけだ(笑)。実に芸能界の一端を垣間みた感じだった。
そういう仕事を始めて新たに練習はしたなあ。大体、大学時代はジャズとフュージョンばっかりやってたから。でも、僕にもこだわりみたいのがあって、ロカビリーギターみたいのはやる気にならなかった。好きとかキライとかじゃなくて、ああいうペケペケしたサウンドみたいのが自分の感覚にないから弾けない。僕はブルースロックかロックンロールみたいにやろうと思って、それこそ中学の頃大好きだったクラプトンやキースリチャーズあたりをもう1回ちゃんとコピーした。そういうのは大好きだったけど、高校大学時代はまともに練習しなかったからね。
ホントはそういうサウンドじゃ、典型的ロカビリーサウンドにはまったくならないけど、ミッキーさんは完全に「自由な」人だから、そういうのは許してくれた。若いのがテキトーやるのを楽しんでくれたのかもしれない。
ミッキーさんは知れば知るほど面白い御方だった。音楽はもちろん、バイク、映画、落語、超常現象、外国語、ナオ…(爆)、ぶっ飛ぶ魔法(超爆)、色々なことに造詣が深い。話の面白さはすさまじかった。タビのホテルとかでそういう話は最高に楽しかったし、色々教えてくれた(とてもここには書けない)。それにファッション含めてとにかくカッコいい!
僕はそんなに怒られたことはないけど、怒ると怖かった。秋田だったかな、昼夜2回公演の仕事で、最初のサウンドチェックで、音響オペレーターがかなりイマイチで、ミッキーさんに「もう少し声上げられませんか(下げられませんか、だったかも)」というあり得ない要望が出たことがあった。アチャーと思ったら、一瞬でミッキーさん「オレの顔にヴォリュームついてないんだけど」とか言ってスタスタと会場から出て行っちゃった(笑)。とにかく落語家だし切り返しは凄まじく速い。で、昼の仕事はなくなっちゃってバンドは楽したんですけど。あれ、よかったのかなあ…(笑)。
僕は20代前半、ミッキーさんのバンドから始まったことがホントにラッキーだったし、とても感謝している。彼は真の自由人で、好き勝手面白いことをかっこよくやろうとしてる人だから、僕等若者にも好き勝手やらしてくれた。だから、昔っぽい芸能の場に言ってもミッキーさんだけはちょっと違った雰囲気があった。「この曲はこんな風に弾け」とか言われたことはまったく記憶にない。とにかく、僕もミッキーさんを尊敬していたし、バンドや音楽を面白くやろうと考えていたわけだ。それは、その後の僕の音楽活動の基本になったと思っている。
そんな、ミッキーさんともFBやツイッターでの交流はあったが、会うのはたぶん20数年ぶり。自叙伝発売のときも仕事で行けなかった(最高に面白い本です)。不義理で申し訳なかったのだが、喜寿のお祝いでようやくお会いすることができた。昨夜は、いきなりミッキーさんとデュオで「The Things We Did Last Summer」。フランクシナトラとか聞いたことあるけど、やったことない曲。初見でちょい緊張だったけど楽しい時間だったな。
イベントは、加橋かつみさん「花の首飾り」(小学生のとき大好きだった…涙)、ガロの大野さん「学生街の喫茶店」、田辺靖雄九重佑三子さんご夫妻の「Sound Of Silence」アカペラなどの懐かしい曲から、ミスターイクラさんのメチャかっこいいロックンロール、外道の加納秀人さんのブルースギターソロ、Iccou Yagiさんの強力なフラメンコギター、TOKUとミッキーさんの共演 etc……ロックンロール、カントリー、ジャズ、歌謡曲までの超盛り沢山。最後は8人のギタリストが共演の大ブルース大会。やっぱりミッキーさんの幅広い自由な人間性が現れた楽しい会でした。
ミッキーさん、改めてお誕生日おめでとうございます。最高にゴキゲンでカッコいい77です!是非米寿までガンバっちゃってください(笑)。また是非共演させてくださいね。
孫むすめ、ろぼじー、孫むすめのがっこうのせんせー
という貴重なショット!